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消費税、その増税延期と増税時期 その1

2016/07/05
バングラデシュの発展に貢献したいとの崇高な使命感をもって活動されていて、不幸にもこの度のテロ事件に遭遇されて犠牲になられた方々に対し、心からの哀悼の意を表し、また、銃撃を受けて負傷された方に対し、衷心よりお見舞いを申し上げさせて頂きます。

 

さて、これまでにも触れて来ましたが、現行の消費税が10%へ引き上げられる時期が2019年10月に先送りされました。日本経済の現状からすれば、延期の判断自体は適切だったと考えていますが、問題は「先延ばし」に至った真の理由と次の増税時期です。安倍首相の「新しい判断」の一言によって「公約」が反故にされた以上は、その時期において、確実に実施される保証はありません。因みに、2014年12月の総選挙で安倍首相は、「...再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。3年間、3本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその経済状況をつくり出すことができる。」としていました。

 

都民に限らず、全国民が望んでいた東京オリンピックの開催が2020年7月で、増税はその前年の2019年10月に予定されています。いわゆる「オリンピック特需」により、観戦チケット、関連グッズやイベント等の価格に増税分の消費税が上乗せされたとしても、それらのオリンピック関連商品は飛ぶように売れていくことはある程度予測がつきます。また、海外からの訪問客や選手団を含む多くの観客等の消費者は、何かの試合を見たり、何処かを観光したり、また、お土産を買ったり、何かを食べたりすることも考えられます。他方では、駆け込み需要も起こることが予想され、それらに引きずられる形で2020年春頃からは、オリンピック特需が浸透し、夏にはそのピークを迎えることが考えられます。

 

しかし、それらのオリンピック特需が大きければ大きい程、その後の反動も予測しがたい程の大きな落ち込みが予想されます。そして、特需が終わればその後の個人消費は大きな影響を受けることが想定されますが、ご案内のように、景気を左右する大きな要素は消費です。すなわち、消費増税がオリンピック開催前年の10月に実施され、軽減税率が導入されることになれば、2019年の夏から秋口にかけては、軽減税率の対象となる日用品から、住宅、家電、自動車等での駆け込み需要が起きること予想されます。その反動で、2019年の年末辺りからは個人消費は伸びず、2020年の年明け辺りからは、一段と消費は低迷していくことになると思われますが、そのような状況下で本当に消費増税は可能なのでしょうか、この点について、国民が納得する経済政策についての説明が欲しいものです。

 

わが国は、潜在成長率が低迷している状況下で、社会保障費が拡大し続けるという、いわば「構造的要因」で財政赤字が累増、既に巨額の国債残高が積み上っています。このような窮屈で厳しい財政状況を見る時、消費増税なくして財政規律の健全化が成し遂げられる程、わが国の財政状況は甘くはありません。いずれ中長期的には、理論的に考えても10%台の半ばから後半の税率までの消費税率の引き上げは避けられないものと考えられますが、この点についても、併せて明確な説明が欲しいものです。 (次回に続く)

文責 (G・K)

 

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