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法文上盲点だった?

2010/04/27
こんにちは。


みなさん相続があったときに、その財産の総額によって相続税というものが発生するというのはご存知かと思います。


ただ、やはりその相続する財産の性質等を考慮して、資産によってその税額負担を軽減する措置が法律上設けられています。


今回紹介するのはその一つで、小規模宅地特例と言われるものです。


相続によって取得した土地の中に被相続人が住んでいた自宅に係るものがあり、その後相続人が引き続き居住する場合、240平方メートルまでの部分について、相続税の計算上80%の評価減が認められるという規定があります(租税特別措置法第69条の4)。

もしほかに財産が無い場合等は、居住用の住宅を売ってまで税金を負担しなければならず、そのようなケースを防ぐために設けられた規定です。

しかし、この法律の解釈をめぐって、注目された裁判がありました。

平成15年9月、納税者側である原告は佐賀県内にマンションと一戸建ての2か所の住宅を所有していた母親が死亡し、当該2か所の住宅を相続することとなりました。

その際、その2か所の土地につき、前述の評価減が認められる小規模宅地特例を適用して相続税の申告を行ったところ、税務署はそのうちマンションへの同特例の適用を認めなかったのです。


その後納税者側は内容を不服とし、不服申立を経て裁判となりました。


ここで、納税者側と税務署側の法律の解釈の相違について言及すると、まず納税者側は、条文上に「1か所」と明文化されていないため、2か所の適用もありうるとする一方、税務署側は居住用宅地についての特例という立法趣旨から考えて、適用されるのは1か所のみであると主張したのです。


結果、一審では「2か所への適用を排除する内容は読み取れない」として納税者が勝利しましたが、二審では「マンションが生活の拠点として使用されていたとは認められない」と居住の実態を考慮して逆転敗訴。最後は最高裁への納税者側の上告が不受理とされたため、二審の判決が確定しました。


これらの裁判で最終的に税務署側の勝訴となったものの、適用されるのが1か所であるという主張は最後まで認められたとは言えません。


そのため、この度の22年度税制改正にて、「特定居住用宅地等は、主として居住の用に供されていた一の宅地等に限られることを明確化する」こととなりました。

このように、立法時は想定していなかった法文上の盲点というのはどの法律にも存在するものであり、だからこそ数多くの法文解釈の相違による裁判が存在するのです。


 

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