こんばんは。
今日もちょっとした税金の話です。
事例で話しをしたいと思います。
とある夫婦がおりました。ある日夫の不倫を理由として妻が離婚を求めたため、夫がこれに応じることとなりました。
そこで夫婦が居住していた建物につき、夫名義になっておりましたが、財産分与としてこの建物を妻へ譲渡する旨で離婚協議が成立し、移転登記を行ったとします。
この場合、当該譲渡によって納税義務が発生するのですが、はたして譲渡した夫に税金が発生するのか、譲渡を受けた妻に税金が発生するのか、どちらでしょうか?
正解は、夫に納税義務が発生します。
一見、財産をもらった妻に贈与税が発生しそうですが、通常、慰謝料などの財産分与請求権に基づき給付を受けたものであるため、これには贈与税は発生しません。
一方、財産を譲った夫側ですが、所得税法上の「資産の譲渡」が無償の場合でも該当するため、時価を譲渡価格とみなし、譲渡所得に対する所得税が発生するのです。
このような税負担について知らない夫婦が離婚、財産分与後に当該事実を知ったことから、夫側が錯誤(勘違い)による分与契約の無効と移転登記の抹消を請求し、最終的に認容された有名な裁判も存在します(最高裁平成元年9月14日判決)。