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都議選の結果と都民(国民)の意思表示

2017/07/03

東京都議選は72日に投開票されました。結果については、ある程度予想されてはいたものの、これまでの1党だった自民党が、あれ程までの惨敗をするとは意外だったと感じたのは、決して筆者だけではなかったのではないかと思います。よく、「国政選挙と地方選挙は違う」と言われますが、これが現下の都民、否、国民の自民党に対する素直な評価だったと考えています。すなわち、強引な政局運営や官房長官を含めた閣僚らによる不誠実な応答、不穏当な発言、失言や政治献金の問題、また、安倍チルドレンと言われる議員による罵詈雑言や行動が自民党候補に逆風となったのは明らかだと思われます。詳細な分析は専門家に委ねるとして、今回の選挙における、いわゆる無党派層と言われる人達の投票行動の多くも地域政党としての「都民ファースト」を支持したものと考えられます。

 

そんな中、防衛大臣が行った都議選の自民党候補を応援する集会での演説で、「防衛省・自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたいと、このように思っているところです」という、自衛隊の政治利用で行政の中立性を逸脱したとも受け取られる発言は、驚きとともに大きなインパクトを与えました。これについては、当初、ご本人は「問題発言」とは認識しておられず、発言の真意を質そうと集まっていた大勢の記者たちがなぜそこに集まっているのかを理解できずにいたのも深刻と言えましょう。現職の自衛官の中からですらも、「全自衛官が自民支持と誤解されるのでは」と言った懸念する声すら聞かれる程でした。尤も、応援演説当日の深夜になって、「誤解を招きかねない発言があったため、直後に趣旨を説明し、同日中に撤回、おわび申し上げた次第です」とその発言を撤回し謝罪をしていますが。

 

同大臣は、627日の釈明、謝罪会見において、都議選の自民党候補への応援演説で「自衛隊としてもお願いしたい」とした自身の発言を釈明した際に、「誤解を招いた」、「誤解を招きかねない発言」と述べ、「誤解」というフレーズを35回も繰り返していました。さらに、防衛省や自衛隊に触れた発言をしたにも拘わらず、「あくまで自民党の議員として応援をお願いした」と強弁し、失言を認めようとしない逃げの発言に終始していました。弁護士と言う法律の専門家でもある同大臣の口からこの種の発言があったのは俄には信じられません。と言うのも、自衛隊員の政治的行為を制限している自衛隊法の趣旨からは好ましくなく、また、公職選挙法は「公務員が地位を利用して選挙運動をしてはならない」と定め、国家公務員法も国家公務員の政治的行為を制限しています。加えて憲法も、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定しています。

 

このことは、「誤解を招きかねない発言」ではなく「誤解しようもない、完全に法令に触れる発言」とも言えるものと考えられ、即刻罷免に値する程のものと考えられるからです。複合的な要因は考えられるものの、このことが投票日直前だった有権者である都民の投票行動に大きく作用したものと思っています。また、森友学園、加計学園に係る総理大臣の辻褄の合わない発言、共謀罪法案の強行採決後、国会の強行閉会と、一強政治体制と言われる現状に気が緩んだのか、国会閉会後に連日のように閣僚を含む自民党員らから問題発言が飛び出したことも、また、有権者にそっぽを向かれる痛手となってしまったようです。「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」とは、英国の歴史家ジョン・アクトンが述べた格言です。翻って想うとき、わが国の政治(政権)は、このような状況とは無縁で、民主主義がきちんと機能する存在であって欲しいと願うものです。

文責(GK

 

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