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相続こぼれ話(ご存知ですか死因贈与契約?) その1

2017/09/07

以前(昨春)にも、このコラムで「相続こぼれ話」と題して税理士業務の一端を紹介させて頂きましたが、1年の時を経て、再度、それに関連した話題を取り上げてみたいと思います。税理士は、一般に、税に関わる仕事に携わることが多いのですが、それ以外にも、日常生活に密着したあらゆる部面において中小企業経営者の皆様や個人事業主の方々のご相談をお受けする「街の便利屋」的存在であるのが特徴的な職業です。それらの中から、今回は、「遺贈」に類似した「死因贈与契約」にスポットライトを当ててみたいと思います。また、「相続こぼれ話」といっても、クライアントの皆様の相続に関しての「余談」ではなく、死因贈与契約に係る受贈者の手続の一環としての財産を確定する業務における証券会社を含む金融機関の窓口対応について筆者の感じたことを述べてみたいと思います。

 

遺言によって自らの死後に特定の人に与える財産やその割合を指定する「遺贈」は、遺言の内容を秘密にできることや受遺者の判断でそれを放棄することも可能であるというメリットがあります。他方、贈与者(被相続人)と受贈者が生前に契約を交わし、贈与者の死亡を停止条件として特定の人に財産を与える「死因贈与」は、遺言書のように厳格なルールがあるわけではなく、特定の相手に確実に財産を与えることができるところにメリットがあります。この他にも、死因贈与は、字面は贈与ですが、これによる財産の移転は、贈与税が課税されるのではなく、遺贈と同様に相続税が課されることになるので、通常の贈与と比べると税負担が軽くなるメリットがあります。

 

少し専門的に言うと、「遺贈」には遺言が必要となりますが、その「遺言」はちょっとしたミスで無効となる場合があります。遺言の中でも自筆証書遺言は、特別な費用をかけずに自分で作成することができますが、例えば、作成年月日の明記や署名押印など、決められたルールに沿って作成されていなければ無効となります。ほんの些細なミスでも、せっかく作った遺言が無駄になってしまう恐れがあります。その点、死因贈与は、遺贈とは違い、贈与者が遺言を書く必要がありません。お互いの合意の上に契約が成立していることから、贈与者の死後に受贈者は必ず財産を受け取ることになります。このため贈与者にとって、指定した特定の相手に確実に財産を渡せるというメリットがあります。

 

このような死因贈与契約には、一般的には死因贈与執行者が指定されており、クライアントから受贈手続きの依頼があった場合、相続手続と同様、贈与者(被相続人)に属する全財産の確定を行うことになります。このコラムでは、不動産を除く動産、就中、預貯金や有価証券を取り扱っている金融機関における死因贈与契約に対する窓口対応を中心に述べていきたいと思います。死因贈与執行者は、一般に、贈与者の死亡を受贈者からの連絡で知ることになりますが、当該連絡を受けると急に忙しくなります。受贈者はなるべく早く贈与者の財産を移転して欲しいという動機があるからです。そこで、先ずは金融機関が求める相続関係の必要書類を取り寄せて、それらと一緒に「死因贈与契約書」を提出することになります。

 

相続関係の業務を担当する金融機関の窓口での反応は、例外なく、「少々お持ちください」と言って、少し奥に座っている先輩風の人に聞きますが、埒があかないようで、その奥に座っている支店長代理と思しき人の指示を仰いでいるように見えます。この方も死因贈与契約書が提出されるのが初めてのケースなのか、最初に相談をした窓口担当の人に何やら困ったように指示をし、当該窓口担当の人はさらに困ったように本店(道外も含む)の相続を担当する部署に伺いを立て、やがて窓口に戻って来て説明をしてくれるのですが、指示をした方が間違っているのか、取り次いだ窓口担当が誤っているのか的確な説明ではありません。しかも、この間340分の貴重な時間をロスすることになります。

      (つづく)

                                  文責(GK

 

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