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相続こぼれ話  その2(相続人の存在が明らかでない相続...)No.1

2016/04/13


このような状況下で、相続財産管理人選任の申立手続は断念せざるを得ず、その代替的手段で利害関係人(特別縁故者)である従弟が被相続人の財産を手にすることが可能な方法は他にないかについて、裁判所の受付窓口で相談しました。しかし、汲むべき事情もあるものの、(代襲)相続人が判明した以上、相続人ではない者が被相続人の財産を得るのは難しく、あるとすれば、民事調停を申立て、葬儀関連費用等や被相続人の居宅マンションの片付け費用、その他の立替金等を相続人に請求すること位しか方法はないとの結論は、懇意にしている弁護士も同様でした。

 

四面楚歌の中、これまでとは考え方を若干転換し、本件を民法554条に規定を置く「死因贈与契約」として構成できないかを検討しました。というのも、被相続人は、日頃から、「私が死んだら全財産を実の姉のように思って面倒を見てくれているあなた(従弟)にあげる。」と言っており、従弟もそれを受取るつもりでいました。これは、被相続人の死亡を停止条件として効力を生じ、贈与物件の所有権が当然に受贈者(従弟)に移転する「死因贈与契約」と法律構成できると考えられるからです。

 

死因贈与契約は、遺言を補完する役割を果たします。すなわち、(自筆)遺言には厳格な要件が存在し、全文自筆、日付、署名、捺印が必要であり、このうちのどれか1つでも欠けると無効になりますが、死因贈与契約としては有効に成立する場合があります。因みに、このことを「無効行為の転換」と呼んでいます。また、死因贈与は「契約」であるところから、当該内容を、公序良俗に反しない限りは、自由に取り決めることが可能であり、口頭であってもこの契約は成立し、遺贈に関する規定が準用されることになります。

文責 (G・K)

 

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