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税法違反被告事件の裁判を傍聴して No.8

2018/06/08

No.7では、弁護人側の証人尋問として被告会社の顧問税理士が午前中に証言し、お昼休みを挟んで午後からは国税OBで、かつて税務署長等、将に税務行政の中枢で指揮をとってきた経験のある税理士が証言したことを述べました。そこで、今回は当該税理士の証言を取り上げてみたいと思います。検察側が主張している、被告会社と関係会社とが一体であるとしている判断の大宗をなすものは、国税局の査察調査及びそれに基づく検察庁への告発の内容にあります。そうすると、国税当局における租税行政上、過去の類似の事案に対してどのように判断、処理してきたかが本件事件の法的判断にも大きな影響を及ぼすことになると思われます。その意味で、当該OB税理士の証言には格別の関心をもって傍聴していました。

 

先ず、被告会社と関係会社との一体性に関して、本件事件と同様に関係会社を設立して人件費を外注費に降り替えるような事例に接した経験はありますかとの弁護人からの質問に対し、OB税理士は、「個人事業主が関係会社を設立したり、親会社が子会社等を作ることはよくあり、それらのいずれにおいても、給料が外注費に振り替わる事例を多く見てきました」と答えました。また、検察官が指摘している一体性に関わる要素としての「指揮命令系統」、「所在地」については、「(当該子会社等は」いずれも、個人事業主なり、親会社の仕事を請け負っているので、直接、個人事業主なり親会社の意向、指示を受けて仕事をしているというのが実態」であり、「個人の場合は、賃貸物件の一室、あるいはマンションの隣の部屋という所にありました。」と証言しています。

 

実際に、このような形態のものについて、これまで40数年に及ぶキャリアの中で、実態が同一であることを根拠に、消費税法違反が問題となったケースの関わった経験は本件以外にありましたかとの弁護人の質問に対してOB税理士は、「実際に自分が担当した事案はもとより、署長、副署長の時代でも、関係会社との関係を否認されて、消費税法違反だと指摘された事案に遭ったことはありません。」と証言しました。また、国税局による査察調査以前に、所轄税務署の税務調査を数度にわたって受けた際、2年毎に会社の開廃業を繰り返した理由(社保逃れ)について、その違法性の指摘がなかったことを問われ、「指摘がないということは、逆に言えば、その理由が認められたと(納税者が)捉えて当然なのでそのことを根拠に同じ行為を(納税者が)繰り返すということは、至極当たり前のことだと思います。」と述べました。

 

なお、これを補足して、次のように証言しています。すなわち、「仮に税務調査時の税務署の判断が誤っており、後の調査等々でそれが間違っていたとされた場合でも、その行為を継続させた責任は税務署側にもあるので、その責めを、加算税等として納税者にのみ負わせるというのは非常に酷なことだという風に自分は感じています。」と。また弁護人が別の観点から、消費税法違反が問われるとしても、消費税を納めるべきは被告会社ではなく、関係会社になるのではないですかと質したのに、「もう、関係会社は廃業しているために、その段階で、廃業後の会社に課税するというのは困難なので、その負担を被告会社に負わせるための1つのテクニックとして、一体性という理論を(国税、検察側が)持ち出してきたものだと思います。」と証言しました。

 

この日は、租税に関わる理論面及び行政面から、午前中は租税法理論面の研究者で、かつては大学で教鞭をとっていた経験があり、定年後は税理士として租税実務に携わっている証人、及び午後からは国税局勤務、税務署長等の税務行政の中枢に在職しており、同様に定年後は税理士として租税実務に携わっている証人の、専門家2名の証言並びに被告会社の代表者の被告人尋問があり、午後5時に閉廷しました。(つづく)

文責(GK

 

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