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税務コラム

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消費増税雑感

2019/10/24

日頃は、なかなか時間の融通が利かない仕事をしていることもあり、ここ23年は海外旅行に行くことはありませんでしたが、年々体力が落ちていくことを実感するようになり、懸案だった中欧旅行に思い切って出掛けることにしました。1011日から1020日までの中央ヨーロッパ4ヵ国の旅行で、その期間中はすべて快晴でもあったことから気分が高揚し、体力・気力ともにリフレッシュできた思いでした。しかし、ブダペスト2泊、プラハ2泊、ザルツブルク2泊、ウィーンの2泊はさすがに強行軍で、最終日のオーストリアでの土産等の買い物は、一旦、付加価値税(消費税)込みで支払し、帰国時の出国手続の際に還付してもらう手続をとるのが一般的ですが、その手続すら面倒に思え、スルーしてしまいました。帰国後は、まるで魔法が解けた如く高揚感も消滅し、今は気力、体力ともスッキリした万全の状態ではありません。

 

ところで、前回も述べましたが、101日から消費税率が10%に引き上げられていますが、予想されていた増税前の駆け込み需要の反動としての買い控え等の売上の減少は然程見られないのがこれまでの税率引き上げとは様相を異にしているようです。これは、税率を引き上げた直後の景気の落ち込みに対する過去の反省から、国の増収分を上回る規模の対策が採られていることもあり、いわゆる「痛税感」が分散されていることが考えられます。その一方で、マスコミの報道等によれば、増税に合わせて実施されたポイント還元等のキャッシュレス支援策は非常に複雑で分かり難く、混乱を招いています。今のところは、政府が目論んだ通り、買い控えによる売上の大きな減少は見られないにしても、この先、キャッシュレス決済のポイント還元支援策が終了する来年の6月以降については不透明なところです。

 

わが国の消費税の使途は、本来、社会保障を充実させるためにその全額を社会保障費用として使うものとされており、消費税は「社会保障の財源」を確保するためのものといえます。因みに、消費税1%は約2.8兆円に値することから、今回の増税で5.6兆円の社会保障の財源を充実させるための税収を生み出すことになります。しかし政府がとっている社会保障政策の実態は、生活保護費の削減や介護報酬の減額、医療や介護費の自己負担額の引き上げ、介護保険要支援者の保険からの除外、年金支給額の減額等と、第二次安倍政権発足以後の7年間で約42770億円も減額されているといわれています。政府は消費税の10%引き上げについて、「社会保障の充実のため」といいながらも、他方では更なる「社会保障費削減」をしているように思われます。何のために消費増税して、それを何に使うかを国民(納税者)に明らかに示す必要があると思われます。増税分が、いずこかの国の大統領の好むディールによって、いわれるままの農産物の購入や使えるかどうかも分からない高額な兵器の買い入れに充てられることのないよう願うものです。 (このテーマおわり)

                               文責(G.K

 

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