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租税不服申立について(国税不服審判所への審査請求編…その1)

2020/02/13

前回のコラムからかなりの時間が経過してしまいました。前回までのコラムを通じて再三再四述べてきているように、税務署長(原処分庁)が行った(更正)処分等に不服があったことから、原処分庁に再調査の請求を行いましたが、その「決定」(後の処分)になお不服があり、その処分の取消しを求めて国税不服審判所に審査請求を行いました。なお、審査請求をした納税義務者のことを審査請求人(以下、「請求人」といいます。)といっています。審査請求をするための審査請求書には「審査請求の理由」を記載することが求められ、原処分庁に対する「再調査の請求」時とほぼ同一の理由を、別紙に記載、添付して国税不服審判所に提出しました。なお、審査請求書は、正本、副本の2部を作成して提出しています。

 

このうちの副本は、原処分庁に送付され、原処分庁はそれに対する反論としての「答弁書」を同様に正本、副本の2部作成し、国税不服審判所に提出しています。国税不服審判所は、そのうちの副本を請求人(代理人)宛に令和2117日付で送付してきました。更に、この原処分庁からの答弁書に対する請求人からの反論は、「反論書」として記載し、令和2212日に国税不服審判所へ提出しました。今回の更正処分等の対象は、一次下請法人1社及び二次下請としての関係法人3社の合計4社ですので、4社分の反論書についてそれぞれ正本、副本及び代理人3名分の合計11部となると、相当量の印刷物になりました。いい訳に過ぎませんが、これに忙殺され、本コラム掲載が遅れてしまいました。

 

原処分庁の答弁(主張)は、基本的に、これまで累度にわたって述べてきたものと変わらず繰り返しになりますが、一応、それらについても概要として触れてみたいと思います。

原処分庁は、令和2117日付答弁書の「請求の趣旨に対する答弁」として、「本件各処分に対する本件審査請求を棄却するとの裁決を求める。」との答弁(主張)をしています。しかし、請求人は、審査請求に係る原処分の全部の取消を求めており、その理由として次のことを挙げています。すなわち、原処分は、一次下請業者である請求人に対する税務調査の過程で、二次下請業者である株式会社KK、株式会社HG及びHS株式会社(以下、3法人合わせて「本件各関係法人」といいます。)との関係及び取引内容を、誤認、誤導して本件各関係法人には全く該当しない「事実」までも交えて事実認定し、それを根拠に上記の更正処分等を行っていること。また、請求人と本件各関係法人とは、トレードオフの関係にあって、本件各更正処分等が請求人のみにて完結するのであれば別として、原処分庁は、本件各関係法人の益金及び損金のほぼ全てを請求人に付け替え算入しています。消費税においては、本件各関係法人は適法に設立された法人であり、本来であれば、当然に新設法人に係る基準期間の納税義務免除制度の適用を受けられるべきところ、原処分庁は、法的根拠がないにも拘らず、請求人から本件各関係法人への外注費を否認し、請求人の人件費とした上、本件各関係法人の税額を増加させる更正処分ではないとの理由で、本件各関係法人には「訴えの利益」がないから却下すべきと主張しています。

 

これについて請求人は、表面的には、本件各関係法人の税額には変化がないように観察されるだけであって、新設法人の基準期間に係る納税義務免除制度を適用せず、その分を一次下請業者の人件費に付け替えただけのことであり、“税額を増加させる更正処分ではない”との本件各関係法人に対する原処分庁の主張は、詭弁という他なく、その違法性は歴然としていると反論しています。また、下請業者には負担の重い社会保険料負担は(売上に対する負担割合は概ね15%18%)、元請け業者が社会保険料の負担をしなかった平成261月期当時までは、社会保険に加入を希望するのであれば、それに伴う保険料は、下請け業者が負担せざるを得なかったとし、この節減の目的が、結果として、消費税の基準期間の納税義務免除制度の適用を受けることにつながったことについては、法の缺欠だと反論しています。

 

すなわち、わが国の消費税がインボイス方式ではなく、免税事業者制度を温存し、帳簿方式を採用する限り、その判定には基準期間(免税期間)を設けることが必須となるが、それはわが国の消費税制度の持つ宿命であり、制度の持つ欠陥でもあるとしています。EUVAT(付加価値税)に倣い導入した、わが国の消費税制度は、政治的妥協から様々な特例を敢えて設けており、新設法人の基準期間に係る納税義務免除制度の善意・合法的利用についての問題点は、消費税導入以前から懸念されており、これに対して法的制裁が及ばないのは、「法の欠缺」であり、わが国の消費税制度の持つ欠陥でもあるとしています。そして、このいわゆる「法の不備」に由来する責任を、他の根拠のない法令を強引に当て嵌め、納税者に転嫁することは、明らかにわが国の憲法の規定に違反することになるとしています。

 

また、審査請求書副本において述べた通り、税務調査に基づいて行われた原処分は、行政手続法第14条第1項を受け、国税通則法第74条の112項に定められた調査結果の説明及び国税庁の事務運営指針に定められた修正申告等の勧奨、修正申告書等を提出した場合の不服申立て等に関する説明、その旨を記載した書面の交付等の手続を経ずに行われた違法な処分であり、原処分庁の答弁書には、請求人が主張する点に何ら触れていない、極めて不誠実な答弁内容であるとしており、請求人は、原処分は国税通則法に定められた手続きを欠いた違法な処分であることを改めて主張、反論しています。また、原処分庁による更正処分に係る更正の理由に対する再調査の請求書及び審査請求書副本において、請求人がしている違法性の主張等に対する原処分庁の主張(答弁書)は、「原処分は適法に行われている」とする抽象的な答弁に終始するだけで、請求人がしている違法性の主張及び反論等に対して具体的にどこがどのように適正なのかそれらに対する答弁(主張)はなされていないとして、改めて原処分庁の答弁を求めています。(つづく)

                                文責(G.K

 

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