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租税不服申立について(国税不服審判所への審査請求編…その2)

2020/02/17

因みに、原処分庁による更正処分に先立つ税務調査において、以下の事実を記した資料が存在します。平成××年×月の原処分庁による税務調査において、調査官は請求人の専務取締役であったT氏に対し、34社くらいの関係法人の名前を挙げて、「これらの会社は何ですか」と質問し、その質問に対して、T氏は「請求人の社員にすると社会保険に入らなきゃいけないから違う会社にしているんです。」と答えたところ、「調査官2人は『ふ~ん』という態度を示し、この件に関しそれ以上、私(旧関与税理士)やT氏に質問することなく、別の話題に移りました。」とする記録です。

 

他方、平成××年×月××日のS国税局の質問顛末書×頁には、「平成××年の始め頃にSS税務署の調査を受けた際に、調査担当者から、関係会社の設立目的や実態について確認されたことがあり、その際は、T氏から社会保険の調査を受けないようにするためであると調査担当者の方に説明してもらい、調査担当者の方にも納得してもらったことはありました。」と旧関与税理士は答えています。また、本件以外の別の場所でも「この時も含めて、この税務調査を通して、関係法人に外注費を計上することにより請求人の消費税が減ることについての話題になったことはありませんでした。」と供述しています。

 

これ以前にも同様に、旧関与税理士事務所の元職員のA氏が立ち会った平成××年頃のSS税務署による税務調査においても、「私が請求人と関係法人との役割に気付いていたのですが、税務署の調査官が関係法人のことを指摘するのではないかと思っていたところ、調査官は関係法人については何も触れなかったことに驚き、『これって許されるんだ』と思った」と述べています。すなわち、これらの事実は、調査官らは請求人が本件各関係法人を設立していたことを認識していたことを示しており、「請求人が消費税逃れのために本件各関係法人を設立していたのではないか」という疑いについて、調査官らはその疑いのないことを認めていたということになります。

 

一方、T氏の質問顛末書及び本人のメモ、並びに別の場所で供述した内容を総合すれば、平成××年の原処分庁による税務調査の冒頭部分で、請求人の本件各関係法人について、社会保険の都合上、別法人が必要である旨を述べたところ、それについて調査官らは「そうなんですね」とか「なるほどね」といっています。そこでT氏は、「今後こ(れら)の会社はどうしたらいいんでしょうか、教えてください」と質問したところ、SS税務署のSU調査官は、「だって、この会社がなかったら困るんでしょう、だったら、続けるしかないでしょ」と答え、当該調査に同行していた同税務署UN調査官からも「そうだね、仕方ないよね」との回答が得られた旨がT氏のメモには残されています。

 

整理しますと、旧関与税理士は、調査官らは「納得」していたとし、T氏は、調査官は「是認」していたとし、事務員は「何も触れなかった」とし、是認であれ、追認であれ、黙認であれ、いずれも認容したことを示しています。なお、今回の請求人による審査請求の対象事業年度には、株式会社KKが解散されず事業を行っていた時期及びそれ以前に設立・解散された関係法人もあったところから、仮に原処分庁が関係法人を2年で解散することが消費税の基準期間(免税期間)を悪用した消費税逃れと認識していたのであれば、当然、指摘していなければならないことになりますが、原処分庁は、当時の請求人の法人税の(実調修正)申告書には、一切、外注費や消費税のことについて触れていません。

 

これに関連して、平成××年×月××日の税務調査においてT 氏が、(前回調査時の同税務署の対応及び回答を)確認して欲しい旨を申し出たところ、SS税務署調査官のOT氏は「前回の記録はない」と回答していますが、原処分庁の調査官の回答は、世情を騒がす「桜を見る会」の国会における政府側の答弁と同様、欺瞞に満ち、納税者としては納得できず、許されるものではありません。一旦、是認回答した、租税行政庁の公的見解を「前回の記録の亡失、ないし廃棄等」を理由に後になって翻し、変更することは、民法第1条第2項が規定する禁反言の原則(信義誠実の原則)に明らかに牴触します。この原則は、正義の要請に基づく法の一般原理であり、当然に租税法の分野にも適用され、本件においても適用されるものです。仮に、これが許されるとすれば、納税者の法的安定性及び予測可能性は大きく損なわれ、納税者の租税行政庁に対する信頼性は忽ち失墜し、何より、結果として、本件のような事案が惹起することが懸念される事態となります。

 

結局、原処分庁は、一次下請である請求人が消費税の減免目的に、関係法人を設立し、その新設法人に係る基準期間(免税期間)を悪用して、いずれも2年間で解散させたとの筋書きの下、実体のある関係法人の事業活動を、上記の事実があるにも拘らず、虚偽の事実を積み上げ、強引に実質主義を適用して否認しています。しかし、本件各関係法人のうち、株式会社KK1社のみが2年間で解散しており、株式会社HGは代表取締役の個人的事由で1年で解散、HS株式会社にあっては現在も事業継続中であり、原処分庁の認定、主張には判然とした誤りがあります。また、仮に、請求人が基準期間(免税期間)内に関係法人を、別件の、社会保険料負担節減の目的で解散していたとしても、それは「法の缺欠」・「法の不備」に由来する責任を、納税者に転嫁することになり、明らかにわが国の憲法の規定に違反することになります。

 

法人税については、このコラムで幾多にわたり述べましたように、その多くについて、かつての関与税理士の誤認によるものであり、元関与税理士の責任が全く問われることなく、善意の請求人にのみ、その責任が降り懸かっていることを、誠に気の毒に思っている次第です。すなわち、約20億円の売上規模の法人の会計処理を、一般には採用されない簡易な期中現金主義による処理をしていて、申告時まで利益が把握でき難かったこと及び期ズレは許されるとする誤った会計哲学なのです。このため、租税実務的(税務調査時)にはそれらが請求人による隠ぺい・仮装ないし「偽りその他不正の行為」と看做されることになっています。(つづく)

文責(G.K

 

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