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民法(相続法)の大規模変更?

2016/02/09
法務省は、遺産相続についてこれまでに有識者会議、すなわち「相続法制検討ワーキングチーム」を組織し、相続法制の見直しを検討していましたが、このほどその見直しが必要とされた案の概要が公表され、「正式に結婚をした配偶者の相続」を手厚くするための民法改正を検討するよう法制審議会に諮問することを明らかにしました。ここでは、それについて述べてみたいと思います。

 

法務省において、このような相続法制検討ワーキングチームが設置され、相続法制の見直しが検討されていた背景としては次のような事情がありました。すなわち、最高裁は、2013年9月4日、非嫡出子(婚外子)の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする部分について、法の下の平等を定める憲法第14条第1項に違反すると判断しました。

 

そこで、違憲とされた部分の規定を改め、嫡出子との相続分を同等とする改正が必要となり、国会において、非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分と同等にする民法改正が行われました。この民法の改正に際しては、国民各界各層から、「法律婚を尊重する国民意識が損なわれるのではないか」、「配偶者を保護するための措置を併せて講ずべきではないか」といった様々な問題提起がされていました[1]。

 

そのような事情の中で、相続法制の在り方について検討を進めるため、家族法研究者や一般有識者等の協力を得て、「相続法制検討ワーキングチーム」が設置され、主として報告書は次のような4つの見直し案を示しました。①夫婦のどちらかが死亡した後も配偶者が自宅に住み続ける権利を保障すること、②夫婦の共有財産については配偶者の取り分を増やすこと、③介護などで一定の貢献をした場合はその分を増額すること、④遺言の内容にかかわらず遺産の一定割合の受け取りを保障する「遺留分」を増やすこと、とする内容です。

 

②については、同時に、他方では結婚前から所有していた財産や相続した財産については配偶者の取り分を減らすべきだ、としています。③については、配偶者以外でも介護等の貢献をした者は遺産の配分を要求できる、としています。

 

ここで示されたいずれの案も、相続をより複雑化、より長期化させる虞があるように思われますが、ともあれ、法務大臣は2月中に法制審議会に諮問し、当該審議会は1年程度を掛けて結論を出すものと思われます。

 

近時、相続税法が改正され、相続税については、格差是正、富の再分配機能強化の観点から、基礎控除が5000万円から3000万円に、相続人1人について1000万円の控除が600万円に引き下げられるとともに、税率も見直され、相続がより身近な事項になってきていることから、今後の民法改正の動向には十分な注意が必要となります。

文責 (G・K)

 

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