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租税不服申立について(審査請求「意見書」編…その8)

2020/11/24

その2としては、下記の原処分庁を含む課税当局による違法収集証拠の問題があります。⑴国税局職員らは、反面調査対象者のAS氏に、当時の税務調査対象者のA氏に係る虚偽事実を伝え、当局に有利な証言及び申述(証拠)を強要若しくは引き出し、ないしその試み(証拠等の違法収集)をしています。すなわち、AS氏作成の「証言」なる文書によれば、当該反面調査を担当した国税局調査査察部査察第三部門の主査ST氏及びNS氏は、請求人(法人)の当時の代表者である「A氏が、かつて『やくざ』ないし『暴力団』だったことを知っているか」とA氏に関する全く虚偽の情報をAS氏に伝達しています。これにより、AS氏に反社会的組織と関わっていた(取引をしていた事実)との心理的圧迫を加えることで、同氏から国税当局に有利な情報(証言)を引き出し、ないし引き出そうとしたもので、当該国税局調査官らの行為は、国民(納税者)の税務調査(反面調査=任意調査)における受忍義務を明らかに逸脱しています。またこれは、公務員による国民の人権を蹂躙する人権侵害行為にも該当し、国家賠償法の対象にも匹敵する重大な法令違反を犯したことにも繋がり、刑法223条違反はもとより、憲法31条、35条並びに刑訴法2181項等の趣旨を没却する法令違反とみることができます。

 

⑵原処分庁を含む国税局職員によるI税理士及びその事務所職員他に対する虚偽証言への誘導ないし強要があります。反論書及び請求人意見書等においても触れましたが、I税理士及びその事務所の職員並びに元職員の申述内容は、原処分庁を含む課税当局の担当者らによって事実を実際とは違う方向に誘導、誤導されており、結果として、虚偽の申述等になっていることが強く窺われます。そのことを原処分庁は、当然、把握しておきながら、それらを修正する等の考慮、検討をすることなく、証拠として採用した結果、誤った法令の解釈・適用に結び付いています。例えば、C氏がI税理士事務所にファックスしたと当該税理士事務所職員が証言(申述)する時間帯は、C氏は義母の療養看護のため、請求人の事務所に出勤することが不可能であったにも拘らず、C氏が請求人の事務所からI税理士事務所にファックスを送ったとする等の虚偽事実の認定のための申述の強要です。これは、当然ながら、刑法223条の強要罪に牴触するものです。

 

その3として、以下の税務調査の恣意性、杜撰性に伴う法人税額等及び消費税額等の更正に係る計算の誤りがあります。⑴原処分庁は、平成XX3月期の外注費1,000万円は請求書がないことを理由に架空の外注費として否認しているところ、同年同月同日付で同額の売上が貸方に計上されています。よって、差引すれば損益は0となり、更正通知書における、平成XX3月期の消費税の計算上は、外注費を1,000万円減少させるとともに、売上も1,000万円減少させなければなりません。また、仕入税額が減少すれば、課税売上に係る消費税額も同様に(約476千円)減少させなければならないことになります(外注費だけを否認するのは誤りである。)。なお、請求人の法人税についての平成XX3月期の計算は、取引事実のない外注費として1,000万円が過大計上額と看做されて、所得に加算されており、これに伴う加算税・延滞税が付加された国税及び地方税も納付済であるところから、早急なる対応(還付)が求められるところです。

    

この他、平成XXXXXX日付E社に対する請求人の外注費二重計上の指摘(主張)は、実態は人工(にんく)の貸し借りに伴う精算的意味合いの売掛金であり、外注費として計上すべきものではなく(I税理士の科目名使用誤り)、また、I税理士が期中現金主義による会計処理方式を採用していることから、仮に二重計上をしていたとしても、期末には借方残高と同額が貸方に機械的に立てられ、洗い替えする手法が採られていることから、平成XX3月期に、これをさらに外注費過大計上額として当該事業年度の所得金額に加算すると適正所得が算出できず、結果として、税額を誤って算出することになります。したがって、平成XX3月期の法人所得金額から113,400円は減算しなければならないことになります。

 

⑵原処分庁の答弁書には、「本件各関係法人の固有の費用収益等以外については」と記載されていますが、ここで言う、固有の費用収益とは何を指すのか、また、原処分庁はそれを何を根拠に認定したのか、またそれが、本件各関係法人に事業の実体がないとの主張との関係でどう説明されるのか、その答弁ないし言及、主張が一切ありません。つまり、これでは請求人の質問(疑問)に答えるものとはなっていません。

 

⑶一連の本件法人税等更正処分等に係る審査請求書、反論書及び原処分庁の意見書に対する請求人の意見書において、請求人は、原処分庁の見方、捉え方は「主観的」であり、事実認定に至る過程での認識及び結論としての判断は、「恣意的」ないし「一方的」である旨、再三主張してきています。請求人のこの考え方は、反論書にも触れた戦後のわが国における国(税務官庁)と国民(納税者)との租税関係は債権債務の関係にあるとする考え方によるものです。かつて戦前のわが国の租税関係においては、税務官庁と納税者との関係は、一般権力関係にあると考えられ、国が納税者に優越する立場にあるとの考え方に沿って賦課課税制度が採用されていました。しかし、戦後の租税関係においては、税務官庁と納税者とは平等の立場にあるとする、債権債務の関係にあるとの考え方に沿った申告納税制度が主たる税目に採用されているところです。よって、原処分庁を含む税務官庁の一方的、恣意的な判断、それに基づく処分等は排除されなければならず、そのことはわが国の最高法規である憲法が31条に規定を置き認めるところです。この「手続的保障原則」を受けて、租税法の分野では、租税手続における税務官庁と納税者の手続法上の関係は、対称的、対等な権利義務の関係として構成されているところです。そして、租税手続における税務官庁と納税者との権利義務の対等性こそが手続的保障原則の要請するところであると考えられています。

 

⑷仮に原処分庁が主張するように、C氏が消費税の免税期間の特例についての知識があり、当該基準期間内において、社会保険料の負担節減や従業員の定着目的で法人の設立、解散を行っていた場合であったとしても、税法がそれを処罰することはできないと考えられます。何故なら、当該設立・解散行為が「偽りその他不正の行為」であると断定できる直接証拠がない情況で、基準期間のない消費税の免税制度という「法の缺欠」、「法の不備」が存在し、それを利用したのが不公平だと言うのであれば、立法によってその不備は解決すべきであるからです。また、累度にわたり述べてきましたが、改めて確認の意味で触れると、行政手続法は、その141項で、「行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。」との規定を置き、これを受けて国税通則法は、74条の112項に「国税に関する調査の結果、更正決定等をすべきと認める場合には、当該職員は、当該納税義務者に対し、その調査結果の内容(更正決定等をすべきと認めた額及びその理由を含む。)を説明するものとする。」との規定を置いています。しかし、本件法人税等及び消費税等の更正処分等に当たって原処分庁は、請求人代理人からの書面による質問に対してすらも、「答える義務なし」として、本件更正処分等の理由に係る何らの回答も示しておらず、本件更正処分にはその手続き面において、明らかな瑕疵が存在しています。以上に請求人が述べてきたことを総合すれば、原処分庁は本件法人税額等及び消費税額等の更正処分等の全部を速やかに取消すべきです。(審査請求「意見書」編 おわり) 

                                                                                                     文責(G.K

 

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