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国税通則法の一部が変わります

2016/01/11
国税通則法の改正によって、課税庁による税務調査の事前通知の義務化が実現しましたが、その一方では現行規定の不備を利用して加算税を回避するために、事前通知直後に修正申告や期限後申告をする納税者も多くみられるようになったようです。多くの善良な納税者(個人、法人)にとっては、それほど大きな問題ではないとは考えられますが、平成28年度税制改正により一部の納税者にとっては大きな変更点となり、大きな影響があるとも思われる、以下の2点について述べてみたいと思います。

①事前通知後の修正申告に対するペナルティの強化

現行の国税通則法第65条第5項において、過少申告加算税は、修正申告書の提出が「更正があるべきことを予知してされたものでない場合」には課されないことになっています。国税通則法第74条の9第1項により、税務調査の事前通知が税務署長の義務とされている一方で、平成12年7月3日の通達「申告所得税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)」において、(注)として以下のように述べられています。「臨場のための日時の連絡を行った段階で修正申告書が提出された場合には、原則として、『更正があるべきことを予知してされたもの』に該当しない。」

このような寛恕的取り扱いを逆手にとって、税務調査が行われて更正処分を受ける蓋然性が高いことを認識していながら過少申告を行い、事前通知があった時点で修正申告をするようなケースが多く発生してきていたようです。そこで、平成28年度税制改正では、このような事態に対処するため、「事前通知の連絡を受けてから更正があるべきことを予知するまでの期間」については、ペナルティが強化されることになりました。

現行規定では上記のようなケースでのペナルティは、過少申告の場合は0%とされていましたが、平成28年度税制改正では、「事前通知の連絡を受けてから、更正があるべきことを予知するまでの期間」について、過少申告加算税5%又は10%が課されることになり、ペナルティの強化が図られることになりました。一方、無申告の場合の無申告加算税の税率は、事前通知後は更正予知前であっても、税額50万円までは10%、50万円を超える部分は15%のペナルティが課せられることとなりました。他方で、従来から国税通則法第66条第5項の規定により、税務調査を受ける前に自主的に修正申告を行った場合のペナルティは5%に軽減されることになっています。

②短期間で仮装隠蔽や無申告を繰り返した場合のペナルティの強化

国税通則法第68条にその規定を置く重加算税は、仮装隠蔽行為が行われた場合において、無申告加算税、過少申告加算税、不納付加算税に代えて課される、かなり重いペナルティといえます。それらの税率は、過少申告加算税に代えて課す場合と不納付加算税に代えて課す場合は35%となっており、無申告加算税に代えて課す場合は40%となっていますが、このような高税率にもかかわらず、短期間で仮装隠蔽行為を繰り返す納税者も相当数いたようです。そこで、平成28年度税制改正では、重加算税を受けた者が、当該処分から5年の間のうちに、再度仮装隠蔽による過少申告、不納付、無申告を繰り返した場合に10%の税率を加重する措置を講じるとされました。

その結果、過少申告加算税に代えて課す場合と不納付加算税に代えて課す場合には45%、無申告加算税に代えて課す場合は50%のペナルティが課せられることになりました。一罰百戒、ペナルティとしての税率を引き上げることで、かなりの抑止効果が上がることも考えられますが、租税平等主義の観点からの一層の納税環境整備が図られ、大多数の真面目で勤勉な納税者の利便性に資するための法整備が図られていくことを望むものです。

文責 (G・K)

 

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