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国会における証人喚問一考

2017/03/31
鬼の霍乱とまでは言えないものの普段は至って元気な筆者ですが、3連休明けの21日の仕事を終えた夕方、日課のウォーキングに出掛けるべく着替えをしようとした時、腹部に鈍痛を感じました。少し時間をおいてから、また同じ動作をしたところ、今度は激痛に近い痛さを覚えました。この段階で日課を諦め長椅子に横になりましたが、安静にしていても痛さは鎮まるどころかますます激しくなり、ついに夜半になって地域の拠点病院に運ばれることになりました。未明から始められた検査で、腸閉塞と診断され、医師からそのまま入院を言い渡され、昨日の遅い午後に、一旦、退院をしました。一旦、と言うのは、極めて再発の可能性が高いので、その折には手術をすることを受け容れるとの約束付きであったからです。

 

そのようなわけで、鼻から小腸まで通されている「イレウス管」と点滴の管2本に繋がれてベッドで寝たままの状態、その間の9日は、専らテレビが暇を紛らわせてくれました。前回のこのコラムでは、「安易に自からの言動を翻し、相手の信頼を裏切ってはならない」とする禁反言の原則(信義則)について触れましたが、今回はそれに関連して、いまだ世間を騒がせているM学園への国有地払い下げ問題についての同学園理事長K氏に対する衆参両院における証人喚問について述べたいと思います。国民の関心は、売却額の8億円を超える減額について、K理事長自身が「想定外の大幅な値引きにびっくりした」と述べたことにもあります。

 

上記評価額9億5600万円もする土地は、さる新聞報道によれば、ゴミ処理費用や除染費用を差し引き、さらに補助金等を考慮すると、実質、ゼロ円で手に入れたことになり、誠に「異常で奇怪な取引」であり、政治家の関与なしには起こり得ないと言われています。K理事長は、また、安倍首相の妻、昭恵氏は封筒に入った(寄付金)100万円をK理事長に手渡し、これは「安倍晋三からです」と言ったとしています。このことは、K理事長の一方的な証言だけなので、真偽の程は明らかではありませんが、因みに、K理事長は、「私が申し上げていることが正しゅうございます」と述べています。

 

国民の一人としては、国会喚問の結果に、疑問ばかりが募るような気がしました。上にも述べたように、K理事長の一方的な証言のみで、しかも、K理事長と違うことを言っていると言うだけでの証人喚問には確かに疑問がありますが、そうだからと言って、どんなに疑問があっても「私人だから」と言う理由で、ダメだというのにも疑問があります。そこには、バランス感覚が必要ではありますが、騒ぎの最中にあっても、昭恵氏とM学園側とのメールの遣り取りは盛んに行われ、この密接な関係が、国有地売却の経緯に何らかの影響を与えたことも考えられるところです。況してK理事長は、「政治的な関与があったと思っている」と述べてもいます。改めて、信義則の重みについて考えさせられました。

 

周知のように、国会には国政調査権と言われる大きな権限が与えられています。今回のように、事が国有財産の売却処理に関するものであるこの時にこそ、この権限が行使され、一連のM学園問題をめぐる闇が晴らされてしかるべきものと考えています。この問題から逃げるように、そして寄付問題からも逃げるように、「私も妻も寄付も関与もしていない」と言うだけでは、国民は納得できないと思われます。ともあれ、疑獄事件や政治家の不明朗な金銭の処理や動きがニュースとなって報じられる度に思うのですが、税務当局は租税公平主義の下、職業間の、いわゆる捕捉率の公平も考慮に入れているのであろうかと。 (了)

文責 (G・K)

 

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