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『相続税に係る特例』と『老人ホーム』

2012/03/27
こんにちは。


今回は、相続税の問題について紹介いたします。


相続税の減税に関する特例として、『小規模宅地等の特例』というものがあります。

小規模宅地等の特例とは、被相続人の遺産のうちに被相続人や一定の親族が使用していた事業用建物の敷地及び居住用建物の敷地等一定の要件を満たす宅地等がある場合において、それら生活基盤の維持に必要な財産についての相続税の負担を軽減するために設けられている、租税特別措置法上の特例制度です。


上記の内特定居住用宅地等に該当するものについては、240㎡を限度として、相続税の課税価格の計算上、80%の価額を軽減することができます。


この特例が適用されるための要件の一つとして、被相続人が自宅(生活の本拠)として使用していた土地であることが必要とされています。


この場合に、近年病院での長期入院や、特別養護老人ホーム、その他の介護型有料老人ホームでの生活中に、死亡した場合の特例の取扱について、問題とされました。


というのも、長期入院や特別養護老人ホームに入居中に死亡した場合は、ホーム入居前の自宅に係る土地について上記特例が適用されるとの国税当局の見解が示されている一方、その他の介護型有料老人ホームの場合、終身利用権を取得している場合等において、生活の本拠が老人ホームにあるとして、特例が適用されないとの裁決が国税不服審判所等でされているのです。


実質持ち家より当該老人ホームが生活の本拠となっているケースが存在するため、特例の適用要件を法文通り解釈すると、確かに適用されないと思われるケースも存在するかもしれません。

しかし、特別養護老人ホームに入れず、有料老人ホームに入居する場合が多いのも事実で、また特別養護老人ホームの入居についても実質終身利用権を取得しているものと思われます。にもかかわらず、この当該2つの施設で相続税の特例の取扱に差を設けるのは、やはり公平性に欠けるものと思われます。


根本的に、老人ホーム入居を要因として、自宅の土地の相続税負担が大きくなるということは、立法趣旨を考えても合理的とはいえず、今後早急に整備が求められる部分です。


なお、上記ケースのすべてにおいて、入居前の自宅につき、いつでも戻ってすぐ生活が可能な状態が維持されていることも特例適用要件の一つとなります。


 

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