こんにちは。
申告が期限内に行われなかったり、申告額が過少であった場合などは、本来の納税額に加えて「加算税」が課されます。
この「加算税」は、申告額が過少であった場合に課される「過少申告加算税」、無申告であった場合に課される「無申告加算税」、源泉徴収等による国税をその法定納期限までに完納しなかった場合に課される「不納付加算税」などがあります。
これらに加えて、それぞれの義務違反の内容が「仮装・隠蔽」によるものと判断された場合、「重加算税」というより重いペナルティが課されます。
この「重加算税」の賦課について、取り消しを求めて納税者より不服申立、訴訟が行われるケースがあります。
結果、「仮装・隠蔽」の事実はないと判断され、「重加算税」を免れた場合に、重加算税の部分のみを取消す手続きが適法か、それとも一度全ての加算税を取消して、新たに「加算税」のみを課す手続きが適法か、従来より納税者と課税庁側との見解の争いがありました。
もし、一度すべての賦課を取消し新たに「加算税」のみを課す手続きが正しいとした場合、加算税の賦課決定には期間制限があるため、新たに課すことができないケースが考えられるため、課税庁側としては不利となるからです。
歴史的には、昭和30年ころについては一度全ての賦課を取消すべきとの判決がいくつかあったものの、最高裁昭和58年10月27日第一小法廷判決で、重加算税の部分のみを取消せば足りるとする判決が出て以降、後者の見解が大勢となっているのが現状です。
しかしながら、当該見解では重加算税の賦課決定がより容易に行われてしまう懸念があり、未だ疑問の残るところです。