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みなし仕入率について

2012/01/15
こんにちは。

2011年12月30日に公表された政府税制調査会の社会保障・税一体改革の素案では、「実態調査を行ったところ、業種によっては、みなし仕入率の水準が実際の仕入率を大幅に上回っている状況が確認された。今後、更なる実態調査を行い、その結果も踏まえた上で、みなし仕入率の水準について必要な見直しを行う」と記載されました。

実態調査によると、第4種(みなし仕入率60%)に該当する金融保険業や、第5種(みなし仕入率50%)に該当する不動産業などが、実際の仕入率がみなし仕入率と大幅にかけ離れていた業種として公表されています。


今後の調査次第で、40%などのあらたなみなし仕入率が設けられる可能性があります。


現行のみなし仕入率は

(1)第一種事業 卸売業 90%

(2)第二種事業 小売業 80%

(3)第三種事業 製造業(製造小売業を含む)、建設業等 70%

(4)第五種事業 不動産業、サービス業(飲食業を除く) 50%

(5)第四種事業 (1)~(4)以外の事業(飲食業、加工賃を対価とする役務の提供等) 60%


などと定義付けされており、全ての業種を上記のいずれかに分類して、課税売上高に該当するみなし仕入率を乗じて仕入税額控除を計算することとなっております。

しかし、この仕入率が必ずしも該当する事業の実際の仕入率に近似しているとは限りません。

また、該当する事業区分について納税者と課税庁側の見解の相違により、争われるケースが多々存在するのも事実です。

下記はその一例




簡易課税におけるみなし仕入率の適用に際し、歯科技工所は製造業ではなくサービス業に該当するとした事例


▼ 裁決事例集 No.61 - 662頁

 請求人は、請求人の営む歯科技工所は、社会通念上、製造業というべきである旨主張する。
 しかしながら、歯科技工は、免許を受けた歯科技工士でなければ業として行うことができないとされ、また、設計、作成の方法、使用材料等が記載された指示書によらなければならないとされるのは、これを行うには相当高度な専門知識、技能・技術が必要とされるためだけでなく、歯科技工士は歯科医師の補助者として歯科医療行為の一環としてこれを行うものであるから、たとえ請求人において材料を購入し、その技術を駆使して義歯を作成しているとしても、本件事業の本質は、歯科医師が患者に対してする医療行為と同様、専門的な知識、技能等を提供することにあるということができ、以上からすると、本件事業は、社会通念上もサービス業に該当すると解するのが相当である。

平成13年2月8日裁決



あくまでも実際の率ではない、みなしである仕入率についてそれほど多くの異議申し立て、訴訟があることは、簡易課税制度自体の問題点とも言えるのではないでしょうか。


今後のみなし仕入率改正の動向と共に、簡易課税制度自体の行く末が気になります。


 

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