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低額譲渡に係る各税法間の取扱の違い

2011/05/12
こんにちは。


例えば事業者が身内や知り合い等に通常の販売価格より低い金額で資産を譲渡した場合、一定要件に該当すると、税法上通常の販売価格で譲渡したものとみなして、収益計上しなければなりません。


しかしこのいわゆる低額譲渡ですが、所得税法上・法人税法上・消費税法上それぞれ法令、通達で規定されている要件が結構バラバラなのです。


○所得税

〈棚卸資産の場合(事業所得)〉・・所得税法40、所得税基本通達40-2
通常の販売価額×70%と譲渡対価との差額がある場合、当該差額を原則総収入金額に追加計上しなければなりません。

※型崩れなどや、広告宣伝の一環として行われる値引販売等については、低額譲渡に該当しません。


〈その他の資産(譲渡所得)〉・・所得税法59、所得税基本通達59-4、所得税法施行令169
資産を法人に時価の2分の1未満の対価で譲渡した場合、時価で譲渡したものとして総収入金額に追加計上しなければなりません(個人への低額譲渡は、譲渡損が計上できないのみ)。

○法人税・・・法人税法22-2

原則、資産の譲渡価額と時価との差額は寄付金とみなされ、収益計上しなければなりません。
またこれとは別に、自己の製品等を原価以下で従業員に販売した場合、原価の額と実際の販売対価との差額は、給与として取り扱う旨が定められています。

○消費税・・・消費税法4、28、消費税基本通達10-1-1、10-1-2
下記のいずれかに該当する場合は、低額譲渡に該当し、時価に相当する金額を課税標準として消費税が課税されます。

〈棚卸資産〉
・譲渡金額が、その資産の仕入価額未満の場合
・譲渡金額が、通常の販売価額のおおむね50%未満の場合

〈棚卸資産以外の資産〉
・譲渡金額が、時価のおおむね50%未満の場合

※法人の役員に対して著しく低い価額による譲渡があった場合のみの取扱です。
※役員及び使用人の全部について一律に又は勤続年数などに応じて合理的に定められた値引率に基づき行われた場合は、時価ではなく実際の対価の額により課税されます。


・・・とこのように、、、書いている私も混乱してきました。


しかしながら実務上は、個人事業者であれ、法人であれ、企業戦略などで販売価額を通常より低く設定することなど多数存在します。

取引における契約自由の原則も考えると、次のようなケース以外は、総合的にに考えて低額譲渡と認定するのは困難なのではないでしょうか、というのが現時点での私の見解です。

1.譲渡を受ける者が販売者の関係者又は特殊な関係にある者(家族、知人、従業員)

2.販売価額が通常の半分未満(所得税法施行令169条に基づく)


 

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