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ホステス報酬から天引きされる源泉所得税について

2010/08/24
こんにちは。


私が住んでいる札幌には、すすきのという大きな繁華街があります。


そこの飲食店の中にはいわゆる「ホステス」や「キャバ嬢」と称される女性が多く働いており、この方たちは税金の計算において一般的に「ホステス報酬」という枠組みで扱われます。


「ホステス報酬」を事業主が支給する際は、支給額から「支払金額の計算期間の日数」に5,000円を乗じた金額を控除した差額に対し、10%を乗じた金額を源泉所得税として天引きすることとなっております(所得税法施行令322条)。


ただ、実際は支給額総額に対して10%を乗じた金額を天引きしたり、15~20%を乗じて天引きするなどの事例も多く、税務署への納付額との差額についてはお店の収益としている場合も多く存在します。

業界的に人の入れ替わりが激しく、その女性従業員自体も確定申告をしないで引かれっぱなしというケースが多いため、今まで続いてきてしまった悪習とも言えます。

しかし先日、注目すべき判決がありました。(2010.03.02 最高裁第三小法廷判決)

パブクラブを経営する事業者が訴訟を起こした裁判で、ホステスに対して半月ごとに支払う報酬について、5,000円に半月間の全日数を乗じて計算した金額を控除して源泉所得税額を計算するのが妥当であるという事業者側の主張が認められたのです。
今までは、一般的にあくまでも勤務日数を乗じて計算するのが正しいと解釈されていただけに、全日数となると非常に天引きする所得税の金額が少なくなります。

女性従業員にとっては、手元に支給される金額が増えるので、朗報と言えるかもしれません。

しかしこの計算方法だと、控除額が大きい為、確定申告をしない場合税金の控除不足となってしまうケースも増えるのではと懸念されます。


通常より大きい税金額を天引きしているお店が以前多い中で、上記のような判決内容があまりにも現実離れしているために、当該天引きの状況が迅速な改善に進むとは思えませんが、当該判決を契機として、業界中の源泉所得税に対する事業者側の意識、従業員側の納税意識が高まることで、確定申告を行う者が増えることを望みます。


 

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