Mobile Navi

税務コラム

税務コラム

税務コラム

 

トップページ > 税務コラム一覧 > 国のリーダーらの言動と求められる資質

国のリーダーらの言動と求められる資質

2017/07/24

冒頭にお断りしておきますが、筆者自身はレフトウィングではなく、ライトウィングでもなく、もちろん反体制派でもない、極めて中立的な立場の一介の市民税理士を自任しています。しかしながら、このところの国のリーダーとしての政治家の言動と挙止には目に余るものがあるように思われます。森友学園に対する国有地の大幅値引き売却問題、国家戦略特区の加計学園問題、防衛相の国会における虚偽答弁問題等々、国におけるリーダーであるべき筈の国会議員の発言の軽さ、挙措、また、記者(国民)に対する木で鼻を括ったような答弁には辟易するものがあります。言うもでもなく、国会議員は国民の負託を受けて、決して安くはない歳費等(税金)を得て政治活動をしています。その限りにおいては、自らに向けられた国民の眼差しに、国民の全てが信用が置けて、納得のいく、分かりやすく、丁寧な言葉で、それらの諸問題に対する国民の不信や疑念を晴らす努力をして欲しいものです。

 

中でも、筆者はかつて自衛隊生徒課程に在籍していたこともあり、防衛相の発言、挙止には格別の関心を持つものです。防衛相は以前にも、国有地の売却をめぐって問題になった森友学園との関係を国会で問われ、当時の学園理事長だったK氏からは「法律相談を受けたことはない」、「裁判を行なったこともない」などと答弁していましたが、後に民事訴訟で学園の代理人弁護士として出廷していたことが判明し、それまでの発言を撤回、謝罪、その後も都議選における応援演説等々で物議を醸していました。そして、今回は、国連平和維持活動に派遣された陸上自衛隊の日報問題では、当該日報を保管していた事実を非公表とすることを決めた、防衛省最高幹部による会議に出席していながら、国会において「報告はなかった」と答弁していたとする虚偽答弁疑惑が浮上していると複数の報道機関は伝えています。

 

問題の日報は、廃棄されて既に「ない」筈であり、それを今さら「あった」とはいえず、「陸上自衛隊にあった日報は隊員個人が収集していたもので、公文書にはあたらない」という理屈を付し、「保管の事実を公表する必要はない」との結論に至ったその会議には、本人は勿論、事務次官、官房長、陸上幕僚長らが出席していたと報道されています。仮にそうだとすると、会議では将にそのことが議題となっており、「報告はなかった」とするのは論理矛盾であり、報告はあったが「忘れてしまった」のか、報告の「意味を理解せずに聞き流した」ものなのか、いずれにしても、防衛相が了承していた疑いは拭えず、日本国の防衛という重大な任務を所管する部署の責任者である大臣としての資質が問われる形となっています。

 

また、上記日報の隠蔽問題に関し「隠蔽を了承したこともないし、陸自の保管の報告を受けたこともない」と防衛相が否定している当該隠蔽工作が、仮にあったとすると、シビリアンコントロールの面からは重大な問題を惹起することになります。シビリアンコントロール、すなわち文民統制は、戦前の軍部の暴走に対する反省から、国防に関しては文民が最高の指導権を持つ制度であり、軍部の政治介入を防ぐための仕組みとして取り入れられていますが、今回の事態は、シビリアンコントロールもさることながら、文民(官僚)も統制できない大臣であることの一面を見せてしまったのではないかと危惧するところです。

 

 

「私の記憶に基づいた答弁であり、虚偽の答弁をしたという認識はない」とか「武力紛争の一環として行われたものではない以上、人を殺傷し、または物を破壊する行為が事実として行われたとしても、それを戦闘行為と表現するのは紛らわしい」といったように強弁し、自分勝手な論理や詭弁を弄せず、真実を国民が理解しやすい言葉で、納得できるよう話されることが、失地回復の一番の近道であるのではないかと考えています。

                                                                                        文責(GK

 

金山会計事務所 ページの先頭へ