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更正をすべきと認められない旨の通知処分に対する審査請求について その11

2022/09/20

前回に続いて、口頭意見陳述の場に出席している原処分庁の担当者に対する質問事項ですが、以下については、担当者レベルでは適切な回答をすることが困難であると考え、事実を争うものでなければ、必ずしも見解、反論等を求めませんでしたが、念のため、請求人(納税者)の主張(疑問、質問)として記載したものです。

 

そこで、質問事項の⑤は、売上計上漏れ、外注費の過大計上(二重計上、相殺)について、「原処分庁による本件当初更正処分における売上計上漏れについては、本件口頭意見陳述における陳述の概要で詳述していることから割愛するが、原処分庁がしている程度の立証(一つ一つの取引とその金額を特定することなく、単に原処分庁が恣意的に認定した額と請求人の申告額との差額)をもって、売上計上漏れとしたこと、また、その根拠が原処分庁の調査スキルの稚拙性から外注費の過大計上(二重計上、相殺)だと誤認して所得の額に加算したことが明らかとなっている現在、それらの処分(行為)の法律への準拠性、正当性につき原処分庁の見解を求める。」としました。

 

質問事項の⑥は、「具体的な外注費の過大計上(二重計上、相殺)額については、本件口頭意見陳述における陳述の概要で詳述しているので、ここでは、簡単に述べるに止める。外注費の過大計上(二重計上、相殺)につき、平成25年3月期の当該外注費の過大計上額とされたものについては、借方 外注費とし、貸方 売上としていることから損益には影響せず、借方の外注費だけを否認するのは、簿記原理である貸借均衡の法則から誤りである。」また、「外注費の過大計上額としての平成263月期及び平成273月期の二重計上並びに外注費の過大計上としての外注費と売上(売掛金)との相殺分については、売掛金を増額計上している額の中に含まれており、これについても損益に影響はなく、敢えてこれを二重計上というのであれば、売上も二重計上していることになり、所得金額に外注費の額のみを過大計上として加算するのは誤りであり、そうするのであれば、売上もその分を加算しなければならない。したがって、損益は0となることから加算した外注費の額は減算しなければならないが、この簿記原理についての反論、見解を求める。」としました。

 

そこで、蛇足ながら、再三取り上げている「東亜由美審判所長は、『審判所においては、あくまでも行政のあり方を迅速に見直すという不服審査ですから、補充調査みたいなことは行いません。当時この証拠でこの課税をしてよかったかということを争点主義的に見ていく』と述べている」旨を重ねて記載しています。

 

原処分庁担当者への次の質問事項の⑦として、給与手当の過大計上について以下の質問をしています。「原処分庁は、平成27年3月期において『給与手当の過大計上額』として、『受注工作資金を捻出するための支給事実のない架空の賃金』を計上したと誤った認定をしている。しかし、それについては、S国税局査察第3部門総括主査YM氏及び主査AK氏らの指導によって、請求人の関係法人であるとしたHS社の給与支給を請求人の支給であるとその計算を引き直し、強引にその悪質性を作出、捏造して、請求人の代表取締役であったA氏から個人の金員を平成271214日から平成28年1月20日までの期間に、HS社宛に強制的に振込入金、清算させて給与手当の過大計上に関する問題の完全かつ不可逆的解決を図っていた。」

 

「然るに、原処分庁は、令和1年10月7日付で請求人に対する当初更正処分に先立って、当該給与手当の過大計上問題(出捐された金員の所有は個人か法人か、返還先は請求人かHS社か、回収段階での売上ではない入金(返済金)の処理及び請求人とHS社間の収益及び費用等の帰属の問題、課税の問題等々)を放置、有耶無耶にしたまま、当該『貸付金』と同額を請求人による『給与手当の過大計上額』(後に交際費に振替えている。)と事実を偽り課税したのである。すなわち、課税物件が存在しないところに課税しており、こうした行為は、単純な誤りとしては見過ごすことのできない、法令に牴触する重大な違法行為であり、確信的意思を伴う、許されざる公権力の誤用、濫用であり、憲法に根拠を置く、租税法律主義及び租税平等主義の理念とも相容れぬ、国家による犯罪行為とも評価されるものであるが、これに関して原処分庁の見解を求める。」との質問をしています。

 

原処分庁の担当者に対する質問事項の最後は⑧として、青色申告承認の取消についての次の質問をしています。「原処分庁は、令和1年10月7日付で青色申告の承認取消処分により、請求人の平成27年3月期の減価償却費の償却超過額として、14,069,376円を当事業年度の所得金額に加算した。当該取消処分の基因となった事実として、平成24年4月1日から平成25年3月31日までの事業年度において、KK社及びKG社(以下『本件関係法人』という。)に対する外注費として総額221,932,161円を総勘定元帳の外注費科目に計上し、損金の額に算入しているとし、本件関係法人には事業実体が認められず、当該外注費は請求人の前々代表取締役であるA氏の指示によって、本件関係法人から架空の請求書を発行させることで、本件関係法人に外注費を支払っているように仮装していたものと認められるとし、これらのことが当該事業年度に係る帳簿書類に取引の全部又は一部を隠蔽し又は仮装して記載し又は記録していることに該当するとして、当該事業年度以降の青色申告の承認を取り消すとした。」

 

「青色申告の承認の取消処分については、その理由付記の十分性について判断された大阪地裁昭和50年5月9日判決(行集26巻5号714頁)によれば、『取消通知書に記載すべきことが要求される附記の内容および程度は、相手方において、当該取消処分がいかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用してなされたかを記載自体から了知しうるものでなければならず、単に抽象的に処分の根拠規定を示すだけでは、それによって当該規定の原因となった具体的事実関係をも当然に知りうるような例外の場合を除いては、法の要求する附記としては不十分であるといわねばならない。また右附記の内容として右各号を掲げるほかに、若干の文言が記載されていたとしても、それが抽象的なものであって単に号数を掲げたのと異ならないとみられる場合にも、附記の内容が不十分であるといわねばならないことはいうまでもない。』と判示されている。」

 

「然るに、原処分庁は、上記の青色申告の承認の取消通知書における記載において、本件関係法人に事業実体がないことを8つの箇条書きで示しているが、それらは、もとより本件関係法人に事業実体がないことの具体的な事実等を直接証拠だてる表示ではなく、聊か度の過ぎた課税目的のこじ付けと言わざるを得ない程度のものである。実態として本件関係法人に事業実体があったからこそ、これまで請求人は元請事業者からの発注を請けて、それらを二次下請としての関係法人以下の下流企業に分配して請け負わせ、それぞれの業務を管理監督して工事を完工させてきたからこそ、現在も請求人が一時下請企業として存在しているのである。」

 

「また、当該外注費につき、請求人の前々代表取締役であるA氏が指示して、本件関係法人から架空の請求書を発行させた事実は一切なく、その直接証拠を原処分庁が示してもいない。原処分庁が処分(課税)をするがために作出した虚偽であり、本件関係法人に外注費を支払っているように仮装していた事実も、もちろんなく、全くのデッチあげであることから、誤りが正されるべきは当然である。現に、S税務署(原処分庁)ですらS国税局が査察調査に着手する直前までは、『初めてのことでもあり、今回は署長宛に始末書を出して終わりにします』との趣旨の調査官の指導に止めていたものであり、青色申告の承認の取消はしないことを確約していたものでもあるが原処分庁としての見解を伺いたい。」としています。

 

「なお、本件については、原処分庁から何らの通知もないことから、請求人の請求を認容したものと考えているが、一応、審判所からの確認のための判断を求めるものである。このように、国民の財産権を対価を伴うことなく無償で国家に移転させる(課税)手続が、『合理的な疑いを入れない程度の証明』をすることもなく欺瞞に満ち、そこここに非合理な疑いの念を生じさせるのみの間接事実しか示すことができない中にあって、斯くも容易にかつ強引に行われることに、国民の一人として強い疑念を抱くとともに強く抗議するものであり、本件青色申告の承認の取消処分は誤りであることを強く主張するものである。」としています。(つづく)

文責(G.K

 

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