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更正をすべきと認められない旨の通知処分に対する審査請求について その12

2022/10/04

前回までに述べた請求人から原処分庁及びその担当者への陳述概要及び質問事項に対し原処分庁は、大要、以下の回答をしました。それらの回答のいずれも、当該口頭意見陳述の当初に請求人が予見したとおりであり、それらを見たり聞いたりして請求人の疑問が聊かでも薄らぐような内容ではありませんでした。すなわち、質問事項の①は、原処分庁が事実を捏造し、虚偽の事実認定をした結果、一部に期ズレは認められたものの実質的に殆ど誤差ないしは非違のない申告額に対する当初更正処分、その誤りをそのまま踏襲する一連の本件更正をすべき理由がない旨の通知処分は、請求人にとってあまりにも酷な処分、あってはならない処分であり、この点に関する原処分庁としての認識ないしは見解を問うものでした。

 

この質問に対し、原処分庁は、「請求人の質問は、令和元年10月7日付各処分及び令和3年3月10日付裁決に係るものであり、本審査請求における原処分及び令和4年2月25日付処分の判断に関係のない質問であるため、回答しない。なお、原処分及び令和4年2月25日付処分における原処分庁の判断及び適法性は、答弁書及び令和4年4月11日付答弁書のとおりである。」とする、将に「木で鼻をくくる」ような、誠意のない、論点を逸らし自らの責任に真摯に向き合おうとしない回答でした。累度にわたって述べてきたとおり、質問事項のは、令和元年10月7日付各処分及び令和3年3月10日付裁決の双方ともに原処分庁の事実誤認、虚偽主張及び計算誤り等が随所に存在し、それに基づいた誤った処分であったからこそ、法令上の手続きを踏み、本件審査請求が現在進行している、すなわち一連の深い関係性を有する事案であり、「本審査請求における原処分及び令和4年2月25日付処分の判断に関係のない質問である」との原処分庁の主張は、全く受け容れることのできない詭弁であり、責任逃れの主張であること甚だしいものです。

 

続いて請求人からの質問事項の②は、本税務コラムで再三再四に渡って述べてきているとおり、原処分庁が故意としか評価されない手法で、間違った判断、誤った認定を重ねた上、納税者の人権を含むその他の権利を軽んじないし無視する対応をしてきたこと、加えて調査の終了の際の手続として通則法に定められた調査結果の内容(更正決定等をすべきと認めた額及びその理由を含む。)を代理人に説明しなかったにも拘らず、これを行ったとする「嘘」とそれを強弁した事実等、要するに原処分庁が不適切な対応を重ね続けてきたことの気付きないし認識に対する原処分庁の見解、エクスキューズを問うものでした。しかしながら、これに対しても、原処分庁は、自らには全く責任がないとする詭弁を弄して法令違反を含むそれらの問題の矮小化に終始、責任回避を図るべく以下の回答をしました。

 

「請求人は、平成28年3月期の法人税、地方法人税及び消費税の各申告書及び令和元年10月7日付各処分に関して、計算の誤りを主張しているところ、権利救済制度の一環として、納税者から税務署長の減額更正という行政処分の発動を求める請求制度については、通則法第23条に規定する更正の請求であることから、税務相談において、納税者から税額等の計算に誤りがある旨の相談がされた際、更正の請求の手続の説明を行うことは一般的なことである。そして、通則法第23条第4項に基づき、更正の請求書が提出されたときは、税務署長は、その受理した更正の請求書に記載されたところに基づいて必要な調査を行い、その調査に従って更正をし、又は更正をすべき理由がない旨を請求者に通知する。したがって、更正の請求について説明したことと、提出された更正の請求について理由がない旨を通知したこととは次元を異にするものであり、請求人が主張するような原処分庁における自己矛盾等は存在しない。」、との論点のすり替え、租税行政庁としての法的責任及び行政責任を免れ、問題の矮小化を必死に図り、哀れにさえ思える欺瞞に満ちた回答に終始しました。

 

それと言うのも、上記回答中の「計算誤り」なる文言は、権利救済制度の一環として一般に使用され、通常の更正の請求に結び付くような性質を有する計算誤りではなく、原処分庁が当初から確信的意図をもって故意的ないし能動的に虚偽の課税要件事実を作出する目的の強度の詐欺的要素を有する税額計算をしていた意味での「計算誤り」によるものであり、通常の納税者に対する権利救済制度の埒外にあることが明らかであるからです。したがって、原処分庁が主張するように、請求人がいわゆる「税務相談」に原処分庁を訪れたものではなく、通則法56条1項「国税局長、税務署長又は税関長は、還付金又は国税に係る過誤納金(以下「還付金等」という。)があるときは、遅滞なく、金銭で還付しなければならない。」の規定に基づいて還付を求める書面を提出するために訪れたものであり、ここに原処分庁による論点のすり替え、責任回避の意図が極まるものです。

 

仮に、本件においても、かかる法令等を無視した原処分庁の行為が許され、その言い分(主張)が罷り通るのであれば、審判所の調査・審理能力は皆無も同然、「国税不服審判所」の制度そのものが全くの機能不全に陥っていることを意味し、その使命である「納税者の正当な権利利益の救済を図る」ことなど望むべくもなく、そのような茶番劇しか行い得ない行政機関は時間的にも経済的にも無駄以外の何物でもなく、即刻廃止すべきと思われるところです。

 

続く請求人からの質問事項の③は、上記原処分庁の計算誤りの一部については自らの誤謬、誤処理を認め所得の額に加算していた5,300万円を超える額についてこれを取消しそれに対応する国税、地方税を合わせておよそ2,400万円が請求人に還付されました。当該還付金には通則法58条1項に基づく還付加算金が加算されますが、その還付加算金の計算の始期が令和3年5月7日とされていることに対する質問です。再三、述べているとおり、本件更正をすべき理由がない旨の通知処分の大宗は、原処分庁による平成291122日付前当初更正処分及びそれを取消し、再更正をした令和元年107日付当初更正処分であり、一連の継続している事案に誤謬があることを原処分庁が認めたからこそ還付が行われたものです。しかしながら、この質問事項についても、原処分庁の回答は、次のように「請求人の上記質問は、令和3年1019日付の平成28年3月期の各更正の請求に対する更正処分に係る還付加算金についての質問であり、本審査請求における原処分及び令和4年2月25日付処分の判断に関係のない質問であるため、回答しない。」とし、論点をすり替え、租税行政庁としての法的及び行政責任からの回避を図り、納税者の疑問、質問に真摯に向き合おうともしない姿勢や誠意の無さだけが際立つ回答でした。

 

本件還付及び還付加算金については、原処分庁による前当初更正処分の誤謬を当初更正処分がそのまま受け継いでいるところ、当該当初更正処分には重大な事実認定の誤りが多く存在し、かつ複式簿記の原理を意図的に無視する虚偽に基づく認定であり、明白な誤りが存在することは、再三に渡って触れているとおりであるからです。審判所はと言えば、それらを「当審判所において計算すると原処分の額といずれも同額となる」とし、適正、適法であるかの誤った判断の「お墨付き」を与え、原処分庁及び審判所の両機関がダブルでもたれ合い、意図的ないし故意的な誤りを犯していたことを基因とするものであったからです。請求人はこれを受けて通則法56条1項に基づき還付請求をしているのであり、平成291122日付前当初更正処分、令和元年10月7日付当初更正処分、令和3年3月10日付裁決及び本審査請求における原処分及び令和4年2月25日付処分は一連の継続している事案であり、決して各々独立した事案ではなく、本審査請求の判断に関係のない質問ではないのです。

 

なお、同法58条1項の規定は、大要、「税務署長は、還付金等を還付する場合には、還付金等の区分に従い定められた日の翌日からその還付のための支払決定の日までの期間の日数に応じ、その金額に年7・3パーセントの割合を乗じて計算した金額をその還付すべき金額に加算しなければならない。」とし、その区分として、58条1項1号のイは、「更正若しくは決定の規定による決定又は賦課決定により納付すべき税額が確定した国税(当該国税に係る延滞税及び利子税を含む。)に係る過納金」と規定しているのです。

 

また、上述の原処分庁が回答するような「本審査請求における原処分及び令和4年2月25日付処分の判断に関係のない質問」ではなく、深い関係性を有する一連の継続している事案であることから、本件還付及び還付加算金は、権利救済制度の一環としての通常の「更正の請求」制度の範疇にないことも明らかです。すなわち、原処分庁が故意に虚偽の課税要件事実を作出、それに基づいて虚偽の税額計算、課税をした事実の捏造の結果であり、もとより原処分庁自らの責任において、速やかにそれらの間違いや誤りを修復し、納税者に還付すべきものなのです。なお、更正の請求は原則排他性という性質を有しており、「納税者が更正の請求によることなく、課税標準等又は税額等の過誤の是正を求めることは、その方法以外にその是正を許さないならば、納税者の利益を著しく害すると認められる特段の事情がある場合を除き許されない」とされています。(つづく)

文責(G.K

 

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