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消費増税とアベノミクス第2ステージ

2015/10/01
安倍首相は、先日、正式に自民党総裁に再選されたことに伴い、記者会見をしてアベノミクス「新3本の矢」なる経済政策を打ち出しましたが、国内外の反応は、期待に反して鈍く、歓迎ムードは乏しいようです。

 

アベノミクスは、「デフレ脱却を目指して需要不足の解消に重きを置いた」第1ステージから「人口減少化における供給制約を乗り越えるための対策を講ずる」第2ステージに入るとしています。しかし、示されたものは、「矢」ではなく、その矢の着地点である「的」を並べただけで、それらの具体策は明らかにされておらず、実現性への疑問があると評価されています。

 

米国における近々の利上げ予測に加え、中国経済の先行き不透明感に引き摺られる形での世界経済の減速懸念も広がる中、このところの東京市場における株価には外国人投資家の投資行動により慎重さが目立ち、アベノミクス相場を取り巻く風向きには、変化の兆しが感じられるようになっています。

 

新3本の矢のうち、第1の矢は「希望を生み出す強い経済」で、この1番目に挙げられている「強い経済」政策が、アベノミクス第2ステージの肝だと思われます。何故なら、これが順調に推移すれば、第2の矢である「夢を紡ぐ子育て支援」や第3の矢である「安心につながる社会保障」も、少なくとも資金面の裏付けが整うことにより、うまく進んでいくものと予測されるからです。

 

しかし、第1の矢に関連して安倍首相は、達成時期の明示を避けながら、名目GDPを600兆円にするという目標を掲げました。これは本年7月に内閣府から公表された「中長期の経済財政に関する試算」において示されている「経済再生ケース」では、年率3%の名目成長を続けて2020年度に594兆円になると試算されているところから、全くの腰だめの数字が示されたわけではないものの、置かれている前提やその実現性については、多くの国民や市場関係者が疑問視しているとの報道がなされています。

 

また、この「中長期の経済財政に関する試算」においては、2017年度に消費税を10%に引き上げることの経済に与える影響について、極めてあっさりと触れられているのみで、その景気押し下げのマイナス効果を想定外としている、ないしは過小評価しているのではないかと疑われ兼ねないものとなっています。

 

安倍首相は、2017年4月の消費税の引き上げは予定通り実施するとしていますが、アベノミクスの第2ステージにおける肝である第1の矢が、消費増税のマイナス効果により仮に折れるようなことがあれば、第2、第3の矢と財政規律との関係をどう調和させ、どう並立させていくのかが気に掛るところです。

 

消費増税については、軽減税率(複数税率)をめぐって財務省案が示されましたが、前回も述べましたように、マスコミの報道を通して国民から、そして与党内からさえも痛烈に批判されるに至り、自民党内には消費税10%導入と同時での導入は無理だとする見方も広がっていると報道されています。

財務省案であれ、別異の軽減税率案であれ、成案を得られない可能性が高まっていることだけは確かのようです。

文責 (G・K)

 

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