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いわゆる“理由なし通知処分”に係る裁決の批判的検証 (その13)

2023/06/01

(前回の続き)

「尤も、そのことを理由に原処分庁側が誤った手続を請求人に強要したことに対する責任追及としての判断を審判所が示すというのであれば格別である。また、原処分庁欄の記載の『①平成27年3月期の法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定について、その一部を取り消す旨、②その他の審査請求をいずれも棄却する旨裁決…』の①については、原処分庁認定額を審判所が調査した結果、計算誤りを発見したのではなく、単に旧関与税理士のI氏が計算を誤ったものに取消線を引いていたものをそのまま引用しただけであることを付言する。『②その他の審査請求をいずれも棄却する旨裁決しているところ…(中略)』としているところ、再三触れるとおり、原処分庁が審判所の誤った『お墨付き』を重視し、かつ、先行裁決で示された『誤った適法性』を根拠としているところからも、当該先行裁決の『お墨付き」の与えた(悪)影響は小さくない。」

 

「因みに、原処分庁が虚偽事実を作出し、捏造した虚偽事実を認定し、当該虚偽事実を根拠に虚偽の税額算出をする等、不適切、不法な行為を行ってきたことを認め、また、それをそのまま先行裁決が認めたことに問題があったからこそ、結果として、既に約2,400万円もの大金を還付する羽目になり、その余については、現在も審査請求における審理が継続中である。そのことからしても、審判官メモにおける原処分庁欄の記載は事実を表記したものではなく、この表現、文言のままでは、『はじめに解答があり、その解答に合致する問題を予め作成』し、それを文理解釈する目論見を否定できず、原処分庁が期待する裁決を審判所が示す可能性が強く予想されることから、原処分庁欄記載の主張(文章)については、疑問を持つものである。なお、判決と裁決との同質性については、以前にも述べたとおり納税者に対する羈束性を有する点で同様であるから、ここでは割愛する。」

 

(3)争点3(本件売上認定額を平成28年3月期の所得金額から減算できるか否か。)について 「争点3については、原処分庁が偽計を用いて、当初更正処分において売上計上漏れであると主張、認定している事実の延長線上ないし文脈上にあり、その実態は、極めて悪質性を伴う捏造されたものであり、しかもその根拠は、個々の取引と取引金額を紐付けて特定することなく、単に原処分庁が恣意的に積み上げ計算した額と請求人の申告額との差額をもって、売上計上漏れを認定する極めて曖昧、不適切な虚構に基づくものである。しかも、それを認定するに当たっては、原処分庁自体の調査スキルの稚拙性を想起させる、外注費の過大計上(二重計上、相殺)とする事実無根の主張、認定をして所得の額に加算しており、そうした行為の法律への準拠性、正当性如何が何よりの争点となるべきものである。」

 

「なお、(3)争点3における、原処分庁欄の主張は、(1)争点1でも述べたとおり、一般的な納税者に対する権利救済制度としての『通常の更正の請求』であれば、当該主張は当て嵌まる余地も考えられるが、本件についてはその範疇にはないことから該当しない。仮に、一般的な納税者に対する権利救済制度としての通常の更正の請求と見做される場合であっても、請求人が請求人欄で主張しているとおりであり、原処分庁の主張は根拠がなく、評価できず、その理由を欠く。また、原処分庁が虚偽の認定をした平成27年3月期の売上計上漏れは決算期を跨いでいることから、当然に平成27年3月期若しくは平成28年3月期の所得金額から減算しなければならないものである。更に、本件売上誤認定額については、原処分庁の調査スキルの稚拙性、簿記会計に関する知識不足に基因することに加え、極めて悪質性の高い偽計によって認定、更正処分がなされていることから、強度の不法行為性を帯び、また先行裁決は、それに何らの吟味、検討、調査等をすることなく、『誤ったお墨付き』(裁決)を与えており、そのことに対する認識及び反省も全くなく、そのニュアンスすら示されていないことに大いなる疑問を持つものである。」

 

(4)争点4(本件過大計上額(ただし、本件先行裁決によりその一部が取り消された後のもの)を平成28年3月期の所得金額から減算できるか否か。)について 「争点4についての原処分庁欄は、『本件各更正処分等により平成27年3月期の所得金額の加算項目として認定されており、これを平成28年3月期の所得金額から減算しなければならない合理的な理由は認められない。また、本件各更正処分等の適法性については、本件先行裁決のとおりである』と記載されている。しかしながら、その実態として、原処分庁は平成27年3月期において『給与手当の過大計上額』だとする全くの『恣意的、一方的な事実認定』を行い、『受注工作資金を捻出するための支給事実のない架空の賃金』を計上したと事実無根の虚偽主張をする等の不法行為を行っている。」

 

「そもそも本件金員は、元請事業者の現場担当者と請求人の工事施工を担当する二次下請事業者の関係法人と原処分庁が呼称しているHS社の現場作業員らのとの人的関係の円滑化の目的を理由に、特に依頼を受けて、一次下請であった請求人の当時の代表取締役であったA氏の個人的出捐による一時的な貸付金であり、その回収段階は、元請事業者の現場担当者から請求人の売上に上乗せして返済される方式であった。請求人は、その回収額相当分をHS社からの請求分(売上)に上乗せして振り込み、HS社は、給料日に現場責任者である職長らに上乗せ支給されている給与手当の中から当該回収額相当分を引き去りA氏に手渡していた。請求人や関係法人の本来の売上及び給与手当には直接関係せず、法人としての損益にも影響しないとして、旧関与税理士であるI税理士はこの方式を採用しており、これに関し原処分庁も過去の税務調査(平成25年3月8日付実調修正)においても認容していた。」

 

「ただ、その回収額相当分が請求人(関係法人)の売上に一旦、上乗せされて返済される方式であったところから、当該上乗せ分の源泉徴収はされてはいたものの、原処分庁(札幌国税局)は、かかる金員の貸付及び回収方式は好ましくないとして、査察第3部門総括主査YM氏及び主査AK氏らの指導によって、当該給与手当(A氏の個人的出捐による貸付金)相当分をA氏から返還させ回収するよう指導した。当該額を返還させた上で、『架空給与の支給』、『裏金の支出』、『給与手当の過大計上額』などと、『偽りその他不正の行為』を想起させる用語を駆使して事実を誇張、歪曲して強引にその悪質性を作出、捏造することによって、然程知識のないA氏に無用の誤解と恐怖心を与え、同氏個人の金員を平成271214日から平成28年1月20日までの期間に、HS社宛に強制的に振込入金、清算させ、本件給与手当の過大計上に関する問題の完全かつ不可逆的解決を図っていた。」

 

「しかし、原処分庁は、令和1年10月7日付で請求人に対する当初更正処分に先立って、既に完全かつ不可逆的な形で清算、解決されていたHS社(以下「S社」と表記)の給与手当の過大計上問題を、偽計をもって請求人の計算として引き直し、再度、請求人の『架空給与の支給』、『裏金の支出』、『給与手当の過大計上額』として取り上げ、偽りその他不正の行為として作出、俎上に上げ、課税される根拠のない上記の『貸付金』と同額を請求人による『給与手当の過大計上額』(後に交際費に振替えている。)であると事実を偽り処分、課税したのである。すなわち、原処分庁は、課税物件が存在しないところに課税をしているのである。また、別件ではあるが、本件審査請求を含む令和1年10月7日付当初更正処分等の一連の深い関係性を有する事案等において、原処分庁(国税局査察部)は、請求人が偽りその他不正の行為によって課税を免れていたとして家宅捜索をしている。」

 

「仮に、原処分庁が主張する租税逋脱があったとすれば、当該逋脱額相当分の現金ないし預貯金等が存在していなければならない。しかしながら、税務当局による2回にわたる執拗な関係個所のガサ入れにも拘わらず、それらは何処からも発見されてはいない。こうした行為は、単純な誤りとしては見過ごすことのできない、見込み捜査ないし確信的意思を伴う詐欺行為とも評価される重大な違法行為であり、許されざる公権力の誤用、濫用であり、憲法に根拠を置く租税法律主義及び租税平等主義の理念とも相容れぬ、国家による犯罪行為と評価されるものである。特に、請求人における本件給与手当の過大計上問題は、完全かつ不可逆的解決が図られていたことから実際には非違は存在せず、原処分庁による事実捏造、虚偽事実の作出等の法令違反が明らかな当該違法行為に基づく処分(課税)であり、直ちに取り消し、還付され、かつ、それはA氏に返還されるべきものである。」

 

「請求人が書面等で原処分庁による当該違法行為の証拠等を示した後も、原処分庁は、猶も『合理的な理由は認められ』ないとする主張を続け、無辜の国民、納税者を陥れ、貶める極めて適切性を欠く悪質な発言、主張をするばかりか、更正の請求の制度趣旨を没却し、かつ、その権利さえも奪わんとしているのであり、原処分庁の主張には正当性の欠片すらも見出すことができない。この事態は、原処分庁自らの適法性ないしは請求人の違法性を主張する以前の問題であり、租税行政庁としては完全に誤った行為であることはもとより、租税法律主義及び租税公平主義を憲法規定に置く法治国家としてのなすべき行為ではない。上記の情況が原処分庁欄の何処にも、そのニュアンスさえ表現されてはおらず、この状況で、『納税者の正当な権利利益の救済を図る』国税不服審判所の役割ないし使命を果たすべく公正な裁決が行われるか甚だ不安かつ気掛かりである。」(つづく)

       文責(G.K

 

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