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マイナンバー制度導入雑感

2015/08/08
 マイナンバー制度は、正式には、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」によって担保された制度であり、国(政府)はその目的とするところを、社会保障、税、災害対策等の分野での効率的な情報管理であるとし、当面は行政の公正、公平、効率化を目指す社会保障と税の一体改革を実現しようとしているようです。

この制度の大宗ともいうべき「納税者番号制度」の導入が検討されてから約40年が経過しましたが、漸く上記の長ったらしいネーミングとして2016年1月から開始されることになりました。

ところで、行政には無論税務行政も含まれるわけですが、国は当該制度の目的を"社会保障、税、災害対策等の分野で効率的に情報を管理するため"としていますが、これはあくまで表向きの理由であって、その実、"課税強化に向けた作業が進む一方でマイナンバーを、(税務行政以外の)行政改革につなげる機運はしぼんでいる"と一部新聞では報じています。

確かにこの制度は、銀行口座にマイナンバーを付すことで、国による全国民の所得と資産の一体把握を可能にし、数億円の金融資産を持つといわれる高齢世代の優遇税制を縮小し、その分を、子育て世代や若年層へ回すことができる側面を有しています。また、税金の納付社会保険料の支払い等の行政手続きを効率化、簡素化する側面を持っています。

家計の経済状態まで国に監理、監視されるような社会は、うす気味悪く歓迎されるものではないでしょうが、行政サービスの利便性や効率化・簡素化が大義とされたら、仮に個人情報が流出して悪用される不安があっても、国民としては、好き嫌いの次元を超えて受け入れるべきものなのでしょうか。

当該制度導入まであと半年、この制度に対する国民の理解は十分ではなく、また政府側としての周知・広報活動も十分ではないように思われるのは私だけでしょうか。
最近の新聞によれば、経団連の関連団体である経済広報センターによる当該制度に対する意識調査の結果、制度は認知しているものの、その内容まで知っているとした29歳以下の若年世代は40%にとどまったとしています。

ともあれ、マイナンバー制度導入による経済効果は、年1兆から2兆円ともいわれていますので、本年1月からの相続税の増税による税収増が2,500億円と試算されていますので、そのインパクトは大変なものですね。

それに、銀行預金(名義預金や仮名預金を含む)、一定額以上の贅沢品、海外送金のすべてについてマイナンバーの記入が必要になれば、当局による将来の相続財産となるべきものの確認が、現状よりも、格段にスムーズ・容易になり、的確な税務調査がしやすくなるものと思われます。国は国民に対し、もっと丁寧に説明する必要があるように思います。

一部のマスコミによれば、マイナンバー制度の導入による名寄せ・突合により、銀行預金(特に名義預金、仮名預金)等を一網打尽にする、そのような課税がされるのではないかといった向きもありますが、そのことで困るのは脱税を試みる人であり、当事務所のお客様はそのようなご心配は必要ないと考えています。

いずれにしても、消費税における軽減税率の採用に当たってもそうですが、国による一層の説明責任が求められているものと考えています。

文責 (G・K)

 

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