忙しかった確定申告も無事終了して、当事務所職員一同ほっと一息ついております。
でも、これからは3月決算にむけてまだまだ気のぬけない毎日でもあります。
さて、今年の確定申告では
新しいお客様の申告を何件かやらせていただきました。
そこで話題になるのが、「何が経費になるの?」という疑問です。
たとえば新聞代です。
「業界紙とかは大丈夫だけど、地元紙とか全国紙とかは経費にしたらダメだよね。」
社長さん、新聞読まないとお仕事上困りません?
「えっ、経費にして良いの・・?」
地域の話題とか、時事問題とかお客様でどなたか亡くなったとか、知らないと営業上、お仕事に差し支えませんか?
それから、おやつ代。
「作業の合間の休憩時間におやつ食べるんだけど、自宅と休憩所が兼用で子供も食べるから、おやつ代はだめかと思ってたよ。」
これは、農業の経営者の方です。
朝早くから農作業に従事している農業の方たちは、10時と3時のおやつの時間は体を休めます。
これは「こびる」・・小昼? などと呼ばれたこともあるようですね。
その後の作業を効率化するためにも欠かせないものです。
お茶を飲むとともにお菓子をつまんでほっと一息、これは必要経費でしょう。
そもそも必要経費とは、どういったものをいうのでしょうか。
所得税法37条では必要経費に算入すべき金額として、以下のものがあげられています。
総収入金額に係る売上原価
総収入金額を得るため直接要した費用の額
その年における販売費、一般管理費
これらの所得を生ずべき業務について生じた費用で債務の確定したもの
事業をされている方ならば、仕入など業者さんへの支払や、働いている人たちへのお給料の支払は、間違いなく経費ととらえることができますね。
しかし、自宅の一部に机を置きパソコンやプリンターを設置、そして家族が集うこともあるリビングルームで来客の応対をし、お茶を出して商談を進める。
主に仕事に使っている乗用車で休日は家族の買い物に付き合い、仕事を終えたあとは塾帰りの子供さんを迎えにゆく。
こんな生活をされている方の必要経費はどうなるのでしょう。
所得税法45条には、家事関連費の必要経費不算入という規定があります。
この家事関連費というのが上記のおやつ代や、自宅兼事務所の光熱費、家賃、お茶代、乗用車のガソリン代や維持費です。
原則は必要経費不算入で経費にはなりません。
ところが、所得税法施行令96条では、必要経費としてもよい家事関連費というのが定められています。それによると
家事関連経費の主たる部分が業務の遂行上必要であり、かつその必要である部分を明らかに区分することができる場合
青色申告者の家事関連経費のうち、取引の記録等に基づいて業務の遂行上直接必要であったことが明らかにされる部分の金額
と、あります。
取引の記録とは、帳簿をつけてきちんと区別してくださいね、
ということです。青色申告者は帳簿をつけることが大前提ですので、これは大丈夫ですね。
そのあとは、家事按分をします。
家賃や光熱費だったら、家の図面を参考にして面積から事業供用部分を算定することが多く見受けられます。
まあ、合理的な方法で算定するということでしょうか。
おやつ代は、家族とは別の領収書にする方法もありますが、やはり家事按分が妥当でしょう。
働いている人の人数や家族構成が参考になりますね。
また業種によっても異なります。
通常の事業所で漫画雑誌が必要経費というのはどうかと思いますが、
飲食店の片隅に漫画や雑誌、スポーツ紙が並べてありますね。これは必要経費です。
「じゃあ、うちも従業員の福利厚生のために漫画買って、経費で落としちゃおう。」
などと考えている方、企業(事業)は利益を追求する主体ととらえると、やはり営業成績を上げたり、生産性を向上させる上で必要かどうかを判断の基準にすることも重要かもしれません。
また福利厚生費としても、個人的なものを支払った場合は、給与として課税されることもあるので注意してください。
ところで、税理士事務所でも休憩中にお菓子を食べたりします。
某先生のお話では、「頭を使うと、甘いものがたべたくなるのよ~」 とのことです。
過ぎたるは及ばざるがごとし。
お菓子の食べすぎには、注意してくださいね。