Mobile Navi

税務コラム

税務コラム

税務コラム

 

トップページ > 税務コラム一覧 > その土地はいくらで買ったの?

その土地はいくらで買ったの?

2014/01/13
新しい年を迎えました。 

本年もよろしくお願いいたします。

個人の所得税の確定申告、今年は2月の17日から始まります。 

さて、平成25年に不動産を売られた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

アベノミクスとやらで、土地取引がここ札幌周辺でも徐々に活発化してきた様子です。

 

毎年2月から3月の確定申告時期に寄せられる相談で、親御さんが買った土地を売ったけれど

その土地がいくらで買ったものかが分らないというのがあります。

 いわゆる「取得費」というやつです。

この場合の取得費とは、その土地を買ったときの金額です。

所得税を計算するにあたっては、土地を売った金額(収入金額)から、取得費と譲渡のときにかかった諸経費を差し引いた金額に税金がかかってくるのでとても重要な金額なのです。

この取得費、きちんと購入した時の資料が残っているといいのですが、買ってから30年以上経過し、しかもその土地を買われた親御さんがすでに亡くなられている場合はどうしたらいいのでしょう。

 

以下はよくある相談のケースです。

ケース1・・・「一人暮らしの母が亡くなって、古くなっていた建物も取り壊して、その土地が500万円で売れました。建物を壊したので、そのときに古いものはみな捨ててしまいました。いろんな書類もあったような気がするけれど、もうわからないんです。あの土地を買ったのは確か昭和55年頃だったと思うんですけど。」

 

ケース2・・・「もうこんな歳で大きい病気もしたから、自宅を売って夫婦で介護付のホームに入ろうと思って・・無事4000万円で売れたけれど、税金の申告はどうしたらいいの。30年前に買った土地だけれど、いくらで買ったかなんて・・・身体の具合もしんどくて大変だったから家の片付けも人任せにしちゃったのよ。」

 

さて、こんな場合の土地の取得費はどうなるのでしょうか。

この場合はどちらも長期譲渡所得にあたり、長期譲渡所得の金額に20%の所得税が課税されます。問題は土地や建物を売ったときの収入金額から差し引く取得費です。取得費の金額によって、譲渡所得の金額は大きく変わります。もちろん税金の金額も。

その土地はいくらで買ったものなんですか?  というお話なのです。

 

所得税には概算取得費控除というものがあります。先祖伝来の土地など、いくらで買ったものなのか分らない場合に用いられます。

この概算取得費とは収入金額の5%です。500万円で売れた土地だったら25万円・・・昭和の始めの土地の価格ならまだしも、昭和50年代で札幌市内の住宅地50坪の価格が25万円はあり得ない金額です。もしかして、この売値よりも高い金額で買われていたかもしれません。実は買った金額よりも安い金額で手放して赤字なのに税金を払う、こんな馬鹿な話はありませんよね。

この5%の金額は本来は先祖伝来の土地などの取得費として用いられるのが、本来の趣旨だったはずです。

 

30年以上前の話でわからないから、概算取得費を使う?

居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除があるならまだしも、税理士としては職務怠慢といわれそうです。

 

では、どうするか。

まず、法務局に行って登記簿謄本を取りましょう。

登記簿謄本には、所有権移転について売買により取得した旨が記されています。

これでまず、先祖伝来の土地ではないことが証明できます。

 

次に資料を探します。

その当時の土地に関わる書類、固定資産税の納付書でも良いんです。

固定資産税評価額からでも計算できますから。

公的機関である一般財団法人日本不動産研究所の市場価格指数や、さらには納税者の記憶でも大丈夫ではないか?などという見解もあるくらいです。

税理士は、こんなとき、納税者の方と一緒に考えて検討します。

ぜひ、税理士にご相談下さい。

 

でも、最も望ましいのは取得費、土地をいくらで買ったかが契約書などで、はっきり証明できることです。

不動産購入時の契約書、銀行の振込の控など古い書類を、邪魔にせずにとっておいて下さいね。税理士からのお願いです。

K.T

 

金山会計事務所 ページの先頭へ