お孫さんブームです。正確にはお孫さんへの贈与がブームなのです。
私の周囲にもこんな方がいらっしゃいます。
「もう、孫は可愛いよ~俺なんて自分の小遣い、ぜ~んぶ孫にあげちゃいたいもの・・」
お仕事のときの厳しい表情とはうって変わった発言、優しいおじいちゃんの顔ですね。
「ところでさ、孫に贈与すると税金かからないんだって?これってどうなの。」
はい、とてもタイムリーなご質問です。
お孫さんに対する贈与で非課税になるもの、まず住宅資金がありますが、これは贈与を受けるお孫さんが20歳以上でないと適用がありません。
ところが、教育資金だと乳幼児で大丈夫、むしろこれから子供の教育にお金がかかる若い世代を支援するための制度ですから。1500万円まで非課税です。
この1,500万円を信託銀行に、お孫さん名義で「教育資金口座」を開設して預けます。
教育費以外には引き出せないようにするのです。
「うむ・・確かに教育は金がかかるわ。うちの息子なんか高校は私立、予備校に一年間、さらに大学は東京の私立。受験料はかかるし東京でアパート借りたり、仕送りして奴にかかった教育費、1,500万は下らないね。で、こういったお金を、私が孫に贈与したら1,500万円まで税金かからないのね?」
そこなんです。
お孫さん名義にした1500万円のうち、塾や予備校、習い事の教室など学校以外のものに対する支払は500万円までしか認められないんですよ。受験料は学校に対する支払だから認められますけど、遠方の大学に入学して借りたアパートの家賃は教育費じゃないし、受験にかかる交通費もだめなんです。
今の高校だと、授業料よりも遠方の学校に行くと交通費のほうがかかりますよね。
ただ学校の寮費と学校に直接払うスクールバスの費用は大丈夫だそうですが、それ以外の業者さんに払った交通費は適用除外です。
「なにそれ、じゃあ孫の出来が良くて東京の国公立に合格したとしたら、アパート代も帰省の飛行機代も、教育費とは認めてもらえないの、お金余っちゃうじゃないの。あ、私は孫に何かスポーツやってもらいたいのよ。野球とか、あとプールも。それから冬はスキーの用具代ね。これはどう?500万円の枠内だよね。」
あの・・・。
学習塾はもちろん、大丈夫ですよ。あと習い事で、スポーツやピアノや絵画教室などの費用は500万円まで大丈夫なんですが、スキーや野球の用具は・・・
「え~っ、だめなの?そこがかかるのに。」
こういった習い事では、指導者の名前で領収書が出るものは大丈夫なんです。でも、だいたい、スポーツ用品店で買いますよね。
ピアノだったらヤ〇ハとか、カ〇イとか・・ただ今後この制度を利用するにあたって、販売店も指導者を通して、指導者の名前で領収書を出すようになるかもしれないですね。
ただ、今のところは販売店の領収書ではだめと言われています。「教育資金口座」からのお金の引き出しはできたとして、後から税務当局が認めてくれなかったとすると、その分は30歳になった時点で贈与税が課税されるんです。
「どうも、あまり使い勝手の良い制度じゃないね。それで、教育費として使いきれなかったら、どうなるの?あと、使った後でダメと言われたりしたら?」
30歳になった時に使い残しと、税務署に認めてもらえなかった部分の金額があれば、贈与税が課税されるんです。
「なにっ・・結局税金かかっちゃうんじゃないの・・・!」
はい。
そもそも、祖父母から孫に対する教育費の贈与は一括でなくて、そのつど行えば贈与税はかからないんですよ。
民法に規定する扶養義務者ですから。一括贈与でなければ、おじいちゃんが大学生の孫の学費のほか、生活費やアパート代を仕送りしても全く問題ありません。そのつど出してあげる方が、間違いなく本人には感謝されますよ。
メリットがあるのはもうじき相続が発生しそうなケースで、相続税が明らかにかかる場合ですかね。相続税の基礎控除が下がりますから。
そしていまのところ期間限定なんです、平成27年12月31日までなんですよ。
この制度が延長されなかった場合、この期間が過ぎてからはもう使えないのです。
あとは教育費としてのしばりがあるので、相続で子供さんに残すよりも間違いなくお孫さんの教育に使われることは間違いないです。息子さんに何かあっても教育費は大丈夫です。
「う~ん、どうするべ・・・まあオイラはまだ死にそうにないわ。でも可愛い孫はまだ2歳だし。この後何が起きるかわからん、息子が相続したら家のローンとか車買い替えたり、あと事業資金で使っちまうかもしれん。孫に教育費として1000万円位はくれてやっても良いんだが。」
そうですね。
あと、息子さんのお嫁さんのほうの親御さんもそういったことを考えられているかもしれませんから。
お孫さんごとに1,500万円なので、ちょっとした家族会議も必要かもしれないですよ。こちらの親御さんだけで非課税枠を使ってしまったら苦情が来るかも・・あと他のお孫さんもこの後生まれたりして。
「あと2年間ね、まあよく考えとくわ。」
その後30歳になって贈与税もかかって、得したのは信託銀行と国だったなんていう結果も考えられますので、
よ~く考えてくださいね、お金は大事ですから。
(どこかで聞いた台詞ですが・・ご利用の際は、ぜひ税理士に相談してください。)