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「事業所得」と「給与所得」の所得区分

2013/03/10
こんにちは。


タビスランドに下記の所得区分に係る判決が紹介されていました。




麻酔科医師が手術等を行った8病院から得た各収入が事業所得に当たるか、給与所得に当たるかの判定が争われた事件で東京地裁(定塚誠裁判長)は、医師が各病院から支払いを受けた報酬は自己の計算と危険において独立して営まれる業務から生ずる所得ではなく、病院から空間的・時間的拘束を受けて行った業務ないし労務提供の対価として受けたものであるから給与所得に該当すると判示して麻酔科医師の請求を棄却した。

 この事件は、麻酔科の医師が8病院で麻酔手術等を行い病院側から支払いを受けた所得を事業所得として確定申告したところ、原処分庁が給与所得に当たると認定して更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、その取消しを求めて提訴したという事案である。

 医師側は、手術をした各病院側からの指揮命令や場所的・時間的拘束がなく、自己の計算と危険において麻酔科医師業を営んでおり、事業所得に該当すると主張した。というのも、麻酔医療に関する高度の専門性を有する手術のコンダクターとして麻酔医療を実施するか否かを決めるとともに、その役務提供は各病院の誰からも指揮命令・監督を受けずに行われ、場所的・時間的な拘束がされる旨の契約もなかったからだ。

 判決は事業所得と給与所得の考え方を判示した上で、各病院毎の麻酔手術等の実施状況を検討し、麻酔業務から生ずる費用は各病院側が負担しているため、事業の収支から一般的に生じ得る危険を負担しておらず、麻酔業務を行う対象・場所・時間等について病院側の指揮命令に服していたと認定。さらに、医師の出勤・退勤時刻は派遣医出勤簿に記録され、他の非常勤職員と同様にその出勤簿に基づいて勤務時間が管理されている事情にあったことから、空間的・時間的拘束に服していたとも指摘した。

 その結果、自己の計算と危険において独立して営まれる事業から生ずる所得であるとはいえず、病院側から空間的・時間的な拘束の下に行われた労務提供の対価として報酬を受けたものであるから給与所得に該当すると判示して、医師側の請求を棄却している。

(東京地裁平成24年9月21日判決、平成23年(行ウ)第127号)

http://www.tabisland.ne.jp/news/news1.nsf/2a03c8904e6f853f492564990021bb43/a7cfb5059f9e6fe249257b24007b9284?OpenDocument




今日、日本においても労働形態が多様化しつつあり、労働に係る所得区分を「事業所得」、「給与所得」だけで大きく区分する方法が限界に達しつつあると感じます。


現行ではその所得計算方法も大きく異なることから、どちらの所得区分に該当するかで税負担が大きく異なります。


ただし、今後給与所得について「特定支出控除」に係る改正もあり、少しずつですがその計算方法の違いによる税負担の差異が縮まりつつあります。


 

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